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風疹による先天障害から赤ちゃんを守る! みんなで予防接種を

 2014年02月25日 10:30

 2012年に始まった風疹の流行で懸念されているのが、妊婦の感染によっておなかの赤ちゃんに先天障害(先天性風疹症候群=CRS)が発生すること。昨年9月の時点ですでに前回の流行(2004~05年)で報告された12人を超えたが、国立感染症研究所(東京都)の集計で1月29日現在、41人に上ることが分かった。調査開始以来、最悪の報告数という。これを防ぐには麻疹風疹ワクチン(MRワクチン)などの予防接種が効果的だが、妊婦には接種できないため、より多くの人が予防接種を受け、社会全体で守ることが必要だ。東京都や神奈川県でナビタスクリニックを運営する医療法人社団・鉄医会の久住英二理事長は、花粉症の治療や就学・就職の健診で医療機関を受診した人に風疹の予防接種を受けるよう勧めている。

風疹の2013年推移

東京23区中20カ所で助成を継続

 41人の先天性風疹症候群は福島、栃木、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、和歌山、島根、香川の各都府県から報告されている。東京都は41人中15人となっている。

 風疹ウイルスに感染すると、2~3週間の潜伏期間ののちに発熱、頭痛、だるさ、せき、リンパ節の腫れ、全身に発疹が現れる。大人がかかった場合は子供に比べて発熱期間が長く、発疹なども麻疹に似通っており、脳炎や血小板減少性紫斑病にかかりやすいことが報告されている。

 多くの場合が命に関わったり重い障害を残したりしないが、妊婦が妊娠初期に感染するとおなかの中の赤ちゃんに伝わり、先天性心疾患、難聴、白内障などの先天障害を抱えて生まれてくる可能性が高まる。そこで重要となるのが予防接種だ。

 しかし、ワクチンで使われているウイルス(ワクチン株)は量が少なく毒性も弱いものの、妊婦が接種するとおなかの赤ちゃんに感染する可能性がある。そのため、妊婦の家族をはじめ周囲の人、ひいては全ての人が予防接種を受け、社会全体で赤ちゃんを守る必要がある。

 東京都の23区では、1月28日現在で予防接種費用の助成を行っているのは下記の20の区。全国の自治体での助成に関する情報は東京都感染症情報センターの公式サイトで見ることができる。

あなたから人に感染しないようにしていくしかありません

 春は花粉症の治療をしに医療機関を訪れた人や、就学・就職のための健診を受ける人が増える季節。鉄医会の久住理事長は、こうした機会に風疹にかかったことがない人やワクチンを受けていない人に予防接種を推奨するのは、一つの手だと話す。

 「花粉症患者は症状が軽いうちに来院することも多い。予防接種は抗ヒスタミン薬を服用していても受けられ、ステロイドを含む経口薬(商品名セレスタミン)を飲んでいても、1日4錠程度であれば生ワクチンの効果に干渉しないことが分かっている」(久住理事長)

 なお、久住理事長がMRワクチン接種の対象となる来院者に対し、次のような説明を行っている。

 昨年、1万4,000人を超える風疹患者さんが報告されました。これは、症状が出て医療機関を受診、風疹と診断されて、医療機関が報告した人数です。成人では、風疹は2~5割の人は症状が出ないとされていますから、実際にはこの10倍の感染者がいたと思います。

 その結果、30人を超える赤ちゃんが母体内で風疹に感染し、心奇形や白内障などの障害をもって生まれてきました。

 この流行を繰り返さないためには、免疫のない世代であるあなたが免疫をつけ、あなたから人に感染しないようにしていくしかありません。

 そういう人が増えれば、風疹の流行は起こらなくなります。あなたに個人的なメリットはほとんどないかもしれませんが、協力して下さい。

(編集部)

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