メニューを開く 検索

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  牛乳1杯=ベーコン5枚、前立腺がん防ぐなら低脂肪乳に

疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」一覧

牛乳1杯=ベーコン5枚、前立腺がん防ぐなら低脂肪乳に

 2014年03月11日 10:30

 男性のがんの中で現在、増加率が世界トップの前立腺がん。これを防ぐには、食生活が重要だという。順天堂大学(東京都)大学院泌尿器外科の堀江重郎教授は2月17日、東京都で開かれたプレスセミナー(主催=サノフィ)で前立腺がんについて講演。動物性脂肪を多く取ることが前立腺の健康に悪影響を及ぼすとし、コップ1杯の牛乳の脂肪量はベーコン5枚分に相当することから、「40歳を過ぎたら、男性はできるだけ低脂肪牛乳を飲んで」と助言した。

魚や鶏の脂、オリーブ油も危ない!?

 国内の前立腺がん死亡率の増加が著しく、最近20年間の増加は主要26カ国の中でメキシコに次ぐ2位。その背景には、日本人の食生活の変化も影響しているという。

 この50年で日本人の1日の摂取カロリーは減っているにもかかわらず、脂肪の摂取量は逆に増加。つまり、食事に占める脂肪の割合が高くなっているのだ。それを反映するかのように、この20年で肥満の男性は1.5倍に増えている。堀江教授は「肥満は前立腺がんの大きな原因の一つ」と指摘する。

 脂肪の多い食事は前立腺の健康に悪影響を及ぼすとされており、前立腺がんを防ぐには動物性脂肪や塩分を控えた栄養バランスの良い食生活が大切だ。例えば、成分無調整の牛乳コップ1杯の脂肪量は、ベーコン5枚分に相当する。牛乳の消費量が多いと前立腺がんになりやすいことが報告されており、乳製品の摂取量が多い北欧諸国などでは前立腺がんが多いことも知られている。そのため、堀江教授は「40歳を過ぎたら、男性はできるだけ低脂肪の牛乳を飲むようにした方がよいでしょう」と助言した。

 また従来、がんの予防に良いとされていた魚の脂肪などのω(オメガ)3脂肪酸や、オレイン酸を多く含むオリーブ油、さらには焼き鳥の脂肪も摂取量が多いと前立腺がんの危険因子となることが報告されているという。

予防には大豆、トマト、ブロッコリーなど

 一方で、前立腺がんの予防に良い食品として大豆、トマト、ウコン、魚、緑茶、ブロッコリーなどを挙げた。トマトジュースやトマトケチャップが前立腺がんになる危険性を減らすことも示されている。

 堀江教授は「同じイタリア人でも、トマトソースを使ったラザニアが好きな人とチーズや卵などを使ったカルボナーラが好きな人では、後者の方が前立腺がんの発症数が多いというデータも出ている」と説明。大豆食品を食べると、前立腺がんになる危険性を約30%減らすことも示されているという。

患者調査で"揚げ物好き"多数

 前立腺がんを発見する方法として「PSA検査」がある。これは、血液中にあるPSA(前立腺特異抗原)という前立腺から分泌されるタンパク質の濃度を測る検査で、PSA値は前立腺に異常があると高くなる。前立腺がんの初期は自覚症状がないため、この検査を受けることが早期発見のためには重要だ。

 こうして前立腺の異常を反映するPSAだが、ライフスタイルを改善すると数値が下がることがあるという。その一例として堀江教授は、野菜を中心に魚やビタミンなど多く取る食生活に変え、1日30分のウオーキングを週に6日行うなどのライフスタイルを変化させたグループでは、変化させなかったグループに比べてPSA値が有意に減少したとする報告を紹介。「前立腺がんや乳がんなど、特に経過の長いがんでは、ライフスタイルの管理が非常に重要」と指摘した。

 なお、同大学付属の順天堂医院では、前立腺がん患者に対し、好きな食べ物や毎日のおおよその食生活などの調査を行っている。堀江教授は「前立腺がんを発症した人はやはり、トンカツなど揚げ物が好きな人が非常に多い。逆に言うと、毎日塩ザケとみそ汁のような食生活を送っている人は、前立腺がんになりにくい」とコメント。特に、症状が軽く、定期的にPSA値をチェックしながら経過を観察する「PSA監視療法」を受けている患者に対しては、食生活の改善や指導が大切と考え、患者の家族も含めた指導に当たっていることを紹介した。

(編集部)

ワンクリックアンケート

資産形成。投資するなら?

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  牛乳1杯=ベーコン5枚、前立腺がん防ぐなら低脂肪乳に