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2013年登場の治療薬が本格導入へ―神戸大リウマチ教室

 2014年03月25日 06:00

 7つ目となる生物学的製剤シムジア(一般名セルトリズマブペゴル)、これまで点滴のみだったアクテムラ(同トシリズマブ)とオレンシア(同アバタセプト)の皮下注射用製剤、新しい飲み薬であるゼルヤンツ(同トファシチニブ)の登場など、2013年は関節リウマチの治療薬の選択肢がさらに広がった1年だった。1月30日に開催された神戸大学の整形外科リウマチ患者教室「2014年、今年のリウマチ治療の展望」で、同科の三浦靖史准教授はこれらの新しい薬が今年は本格的に使われるようになると述べた。

2週間の処方制限が解除

 新しい薬であるシムジアは、関節リウマチに使われる生物学的製剤の中でもTNF阻害薬に分類されるもので、基本的には2週に1回、皮下に注射する。自宅で自分で注射すること(在宅自己注射)も可能だ。

 同じく生物学的製剤のオレンシアはT細胞の暴走を抑える薬で、週1回、皮下に注射するものが新たに発売された。IL-6受容体を阻害するアクテムラも皮下注製剤が発売され、こちらは2週に1回となっている。こちらも在宅自己注射が可能だ。

 これらの新しい薬は、発売から1年の間は制限があるので2週間分しか処方できなかった。つまり、2週間に1度の通院が必要となっていたが、発売から1年が経過する2014年にはこの制限が解除されることから、「いよいよ本格的に治療に使われるようになります」という。

新たな飲み薬が登場

 全く新しい薬も登場した。低分子量抗リウマチ薬ゼルヤンツは、1日2回服用する飲み薬(経口薬)だ。この薬は、これまでの生物学的製剤と作用する仕組みが大きく異なる。

 生物学的製剤は主に、細胞の外で過剰に増えた炎症性サイトカイン(炎症を引き起こす物質)を抑えたり、細胞の表面にあるサイトカイン受容体(炎症性サイトカインを受け止めて反応するところ)に作用したりするのに対し、ゼルヤンツは細胞の中にあるヤヌスキナーゼ(JAK)という酵素に作用する。JAKは炎症性サイトカインが炎症を引き起こすよう情報を伝えることに関わっており、その情報の伝達経路を妨げることで、炎症性サイトカインが過剰につくられるのを抑えるのだ。

 ゼルヤンツは新しい作用を持った薬のため、発売後、5年間にわたって有害事象(副作用など)が出ていないかどうか、服用している人全てを追跡調査することが義務づけられている。「注射が嫌だから経口薬を、と安直に考えるよりも、有効性や副作用についての評価がある程度定まってから使用を検討する方がよいでしょう」と三浦准教授はアドバイスしている。

(長谷川 愛子)

神戸大学 整形外科リウマチ教室
 神戸大学整形外科では、関節リウマチ患者が自分の病気についての理解を深め、より良い療養生活を営めるアドバイスを伝える目的で、2003年から毎月1回、同大学病院で患者教室を開講している。同院に通う人だけでなく、他の医療機関や診療科で治療を受けている関節リウマチ患者、患者の家族、医療関係者など、関節リウマチに関心を寄せる全ての人に門戸を広げている。

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