おなかをさすると痛みが和らぐのはなぜ?
2014年06月17日 06:00
胃が痛いときにおなかをさすると痛みが和らぐのはなぜでしょうか。
taro(30代男性)
生活の知恵の一つとして知られていますが、その仕組みは解明されていません。
痛いところをさすったり、手を当てたりすると痛みが和らいだ経験は誰もがお持ちだと思います。けがや病気を治す「手当て」という言葉は、ここから由来しているとの説があるほどです。
よく知られていることではありますが、どうして痛みが和らぐのか、その仕組みは解明されていません。
胃腸は、不安、緊張などの精神的なストレスや生活習慣の影響を受けやすい臓器です。ストレスがかかると自律神経のバランスが崩れ、胃腸の働きが悪くなります。暴飲暴食、刺激の強い食べ物、タバコなども胃腸の消化吸収機能を低下させます。
寒い時や体が冷えている時、冷たいものを食べ過ぎた時には、胃の温度が下がって血流が低下し、胃腸の動きが鈍くなります。いずれもこのような時には胃の痛みを感じます。
手を当てることで、その部位が温まり、気分も落ち着いてきて、自律神経のバランスがとれ、血流や胃腸の動きに好影響を及ぼして痛みが和らぐ可能性はあります。また、さすることで胃腸の動きを改善するマッサージの効果もあると考えられます。
無意識のうち痛いところに手を当てていることや子供の頃、お母さんに痛いところをさすってもらうと痛みが和らぐだけでなく、気持ちも落ち着いたという人は多いのではないでしょうか。
先人たちの経験に基づいて長く伝えられてきた知恵の根拠となる研究結果をお示しできませんでしたが、「生活の知恵ってすごい!」と痛感しました。仕組みの解明が楽しみです。
中野 里美(なかの さとみ)
1990年、東京女子医科大学卒業後、慶應義塾大学医学部内科学教室に入局。都立広尾病院、国立病院機構栃木病院などを経て、2007年から三菱UFJニコス株式会社診療所勤務。同社において初代統括産業医として、社員の健康管理を行っている。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント。