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辛いものばかり食べると痔になる?

 2014年07月08日 06:00

 辛いものが大好きで、タイ料理や韓国料理をよく食べます。でも、翌日にはお尻に強烈な痛みが...。1日たつとおさまるものの、これを毎日続けたら痔(じ)になってしまうんでしょうか。少し不安になっています。

ジャッキー(20代女性)

辛いものばかり食べると痔になりやすくなります。

 痔になる主な原因は、便秘や下痢などの便通異常、長時間の座りっぱなし、排便時のいきみ、冷えなどです。

 肛門は、異なる2つの組織が同居した構造になっています。胎児期に体が作られていく過程で直腸と肛門が結合してできた「歯状線」があり、歯状線より上は直腸粘膜、下は皮膚となっています。歯状線には小さなくぼみ(肛門小窩=しょうか)がいくつかあり、粘液を出す肛門腺につながっています。肛門の内部と出口付近には静脈叢(そう)と呼ばれる毛細血管が集まった部分があります。

 肛門に負担がかかると、静脈叢がうっ血して血行障害が起こり、痔(痔核=いぼ痔)になりやすくなります。

 また、便秘だと排便時に強く長くいきむことでうっ血するだけでなく、水分が吸収されて硬くなった便が肛門を傷つけることでも痔(裂肛=切れ痔)になりやすくなります。

 一方、下痢をしていると、歯状線の小さなくぼみに便が入りやすく、肛門腺に大腸菌などの細菌が入り込んで感染を起こすと肛門周囲膿瘍(のうよう)や痔瘻(じろう=穴痔)になってしまいます。唐辛子などの刺激物やアルコールを取り過ぎると下痢になります。

 唐辛子の辛味成分であるカプサイシンは、消化・吸収されずに排出されます。そのため、口と同様にお尻でも痛みや熱さを感じるのです。また、カプサイシンには、発汗作用や体温を上げる効果、粘膜などに刺激を与える効果があり、痔の原因となったり、痔を悪化させたりします。

 さらに、メキシコでの研究では、唐辛子(ハラペーニョ)を大量に摂取した人たち(1日9~25本)は、あまり摂取しない人たち(1日3本未満)と比べて胃がんのリスクが1.71倍で、唐辛子の大量摂取は胃がんの独立した危険因子と報告されています。

 唐辛子だけでなく、こしょう、わさび、からしにも要注意。香辛料はお料理をおいしくしてくれますが、適量を守り、取り過ぎないようにしましょう。

中野 里美(なかの さとみ)

 1990年、東京女子医科大学卒業後、慶應義塾大学医学部内科学教室に入局。都立広尾病院、国立病院機構栃木病院などを経て、2007年から三菱UFJニコス株式会社診療所勤務。同社において初代統括産業医として、社員の健康管理を行っている。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント。

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