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"アンジー効果"で遺伝子検査受ける女性倍増―カナダ

 2014年09月10日 10:30

 米女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが昨年、遺伝子検査を受けた結果から、まだがんを発症していない乳房を切除したことを公表し、世界から注目を浴びた(関連記事:A・ジョリーの遺伝子検査と予防的乳房切除は受けるべきか)。この告白は多くの女性に影響を与えたことが、カナダの調査から示唆された。カナダ・オデットがんセンターのJacques Raphael氏は、ジョリーさんの告白の境に同センターで遺伝子検査などを受ける女性が倍増したことを、9月4~6日に米サンフランシスコで開かれた米国臨床腫瘍学会の会合で発表した。公表の理由を「がんのリスクにさらされながら生きている可能性があることを、多くの女性が知らずにいるので」としていたジョリーさんの狙い通りになった形だ。

リスク高い女性たちに響く

 Raphael氏らがオデットがんセンターのデータベースを調べたところ、ジョリーさんの公表後6カ月間に遺伝子検査を受けた女性は419人に上り、公表前6カ月間(211人)の約2倍に増えたことが分かった。

 また、遺伝カウンセリング(専門のカウンセラーが遺伝子検査のメリットやデメリットなどを説明するプログラム)を紹介された女性は85%増(公表前後で479人、887人)、検査で乳がんや卵巣がんなどに関係する遺伝子変異(BRCA1および2変異)が特定された女性は倍増していた(同29人、60人)。

 遺伝カウンセリングを求める人はこれまで、多くが家族や本人に病歴があるリスクの高い女性だった。ジョリーさんの公表によってカウンセリングを受ける人数が増えても、実際に遺伝子検査に適格な人の割合が下がるとみられていたが、今回の調査では以前と変わらないことも明らかになった。これは、ジョリーさんの公表がリスクの高い女性たちに影響したことを示しているという。

二次がんの予防にも

 BRCA1および2変異を持っているのは、1,000人当たり2~4人と極めてまれ。しかし、家族に乳がんや卵巣がんなどの病歴がある人、アシュケナージ系ユダヤ人の家系など、特定の女性では保有率が高い。

 Raphael氏は「がんを発症する前に発見されるBRCA1/2変異を持っている人が増えれば、、予防的手術によって乳がんや卵巣がんになる人が減るだろう。また、すでに乳がんと診断された女性がBRCA1/2変異を持っていると分かった場合は、予防的治療を行うことで二次がん(治療によって別のがんを発症してしまうこと)のリスクが下がる可能性がある」とした。

 また、同氏は「これは小規模な研究だ。しかし、ジョリーさんのような著名人が世間の健康問題の認識にいかに大きな影響を与えるかを示している」とする一方で、「ジョリーさんの影響は他の国でも同様だと思われるが、それが長続きするかどうかは分からない」とコメント。ジョリーさんの公表から1年後(2014年5月)の時点での影響について、さらなる調査を行うという。

(編集部)

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