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若者の心臓突然死を防げ! 14項目のチェックリスト

 2014年09月26日 10:30

 日本で毎年、約5~7万人の命を奪っているといわれる心臓突然死。健康そうな人が突然、心臓の異常によって命を失うことで、中高年に多いが、若い人にも発生する危険性はある。米国の心臓病関連2学会は若者の心臓突然死を防ぐべく、14項目のチェックリストを、9月1日発行の米医学誌「Circulation」(電子版)に発表した。大きく「個人歴」「家族歴」「身体所見」の3つに分かれており、「運動に関連した胸の痛み」や「原因不明の目まい」など、自身で分かる項目も含まれている。

スポーツ選手に起こりやすいとは限らない

 心臓突然死というと、路上で倒れ込む様子を思い浮かべるが、若者の心臓突然死となるとスポーツ選手の印象が強いだろう。2011年に練習中に倒れ、34歳の若さでこの世を去ったサッカー元日本代表の松田直樹選手は記憶に新しい。日本スポーツ振興センターによると、保育所、幼稚園、小学校、中学校、高校で心臓突然死は年間16~57件程度起きているが、運動中や運動後に起こる割合が圧倒的に多い。

 一方で、米ミネソタ州の高校の運動部に所属する生徒について26年間調べたところ、心臓関連の死亡は1学年で15万人に1人だったなど、スポーツ選手に起こりやすいとは限らないことが示されている。

 それでも、プロ選手や五輪メダリストになるようなスポーツ選手では、一般の人に比べて寿命が短いことなどが分かっていることから、心臓病に関する学術・患者支援団体の米国心臓協会(AHA)は、1996年と2007年に、極めて激しい練習をするスポーツ選手に対し、競技の前に監督が12項目のリストを使って健康状態をチェックするよう推奨した。

 今回のチェックリスクは、AHAが米国心臓病学会(ACC)とともにこのリストに2項目を加え、12~25歳向けに作り直した新たなもの。下記のような内容になっている。

AHA・ACC心臓突然死チェックリスト
◆個人歴
1.運動に関連した胸の痛み・違和感・締めつけ感・圧迫感
2.原因不明の失神・目まい
3.運動に関連した息切れ・疲労・動悸(どうき)
4.以前に心雑音を指摘されたことがある
5.血圧の上昇
6.以前にスポーツへの参加が制限されたことがある
7.以前に心臓検査を受けるよう医師に言われたことがある
◆家族歴
8.突然または原因不明の心臓病で50歳以前に死亡した近親者が1人以上いる
9.50歳未満で心臓病による障害を負った近親者がいる
10.以下の心臓病にかかった家族がいる―肥大型・拡張型心筋症、QT延長症候群などのイオンチャネル病、マルファン症候群、顕著な不整脈
◆身体所見
11.心雑音
12.大腿(だいたい)動脈の拍動(大動脈縮窄を除く)
13.マルファン症候群の兆候
14.座った状態での上腕動脈の血圧(できれば両腕を測定)

 このうち一項目でも該当した場合、心電図(12誘導心電図)による精密検査を行うことになる。

心電図による判定「推奨しない」

 心電図で心臓突然死の危険性を判定することに関して両学会は、医師が密接に関与して品質管理が十分な場合は推奨しているものの、費用や精度についての問題点を指摘。健康的な12~25歳の大規模な集団に対して行うことは、問診のみ、身体検査のみで心臓突然死の危険性を判定することと同じく「推奨しない」としている。

 これらをまとめた米ミネアポリス心臓研究財団のBarry J. Maron氏らは「一般の若者よりもスポーツ選手で突然の心停止が起こりやすいという証拠はない。心停止の危険性が一般の若者と同じ程度なら、運動選手だけに判定を行うとなると倫理的な問題が発生する」と説明。その上で、心停止が起きてしまった場合に救命に有効な自動体外式除細動器(AED)のさらなる普及を求めた。

(編集部)

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