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急増する大動脈瘤、対応が生死をも左右

 2014年11月04日 10:30

 10年前の2倍と推定されるほど、大動脈瘤(りゅう)が増えている。大動脈にこぶができて破裂する危険性が高まる状態で、特に高齢者に多い病気だが、問題は破裂するまで症状に乏しい点だ。その病態と注意点について、国立国際医療研究センター(東京都新宿区)心臓外科の福田尚司医長に聞いた。

激しい痛み感じたら迷わず救急車を!

 大動脈は、心臓から腹部にかけて位置する直径2~3センチ程の太い血管。そこにできたこぶを大動脈瘤という。発生部位によって胸部大動脈瘤と腹部大動脈瘤に分けられる。

 「いずれも最大の原因は動脈硬化です。動脈硬化を引き起こす高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などが大きな危険因子になります。大動脈瘤ができると、腹部の場合、痩せている人ではドクンドクンと脈打つこぶ状のしこりに触れることがあります。また、胸部の場合、しわがれ声が見られることがありますが、通常は破裂するまで自覚症状に乏しいのです」(福田医長)

 破裂すると、これまで経験したことのないような激しい痛みに襲われてショック状態に陥る。福田医長は「胸部や腹部に激しい痛みを感じたときには、迷わず救急車を呼ぶべきです。対応が遅れると当然、生命に関わってきます」と注意を促す。

破裂前に見つかったら...

 破裂に至らなくとも、人間ドックや健康診断で発見されるケースもある。「そのときには、心臓外科や心臓血管外科を受診してください。造影CT検査で正確な診断がつき、手術を要するか否かなど、個々の病態に応じた治療を行うことができます」(福田医長)

 基本的には、こぶが5センチ以上の場合や、サイズがそれ以下でも急速に進行するケースでは手術を要する。サイズが小さくて急には大きくならない、あるいは特に年齢が高い場合は5センチ以上でも経過観察となる場合もある。

 「経過観察は、半年から1年に1回受けるとよいでしょう。それによって破裂の危険性があると分かれば治療すべきです」(福田医長)

 治療法には、脚の付け根からカテーテルで人工血管を挿入するステントグラフト療法と、開腹して人工血管に置き換える手術がある。福田医長は「それぞれ長所と短所があるので、医師とよく相談して、自分の病状に合った治療を受けてください」と助言する。

(編集部)

2013年11月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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