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海藻の力で難病を克服、潰瘍性大腸炎治療に光―東京工科大

 2014年11月28日 10:30

 大腸の粘膜に原因不明の炎症が起き、血便や下痢、腹痛などさまざまな症状を引き起こす潰瘍性大腸炎。厚生労働省の特定疾患に指定されている難病だが、大腸の炎症を抑える方法はこれまで不明だった。東京工科大学応用生物学部の佐藤拓己教授らは、11月19日発行の米科学誌「Plos One」(電子版)で、コンブやワカメの仲間のシワヤハズという褐藻類から抽出される成分が潰瘍性大腸炎を抑えることを報告した。今回の研究成果により、潰瘍性大腸炎に対する根本的な治療法の開発につながる可能性があるという。

潰瘍性大腸炎とは?

 潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症を起こし、びらん(ただれ)やより傷が深い潰瘍ができる病気。現在のところ明らかな原因は不明であり、厚労省の特定疾患に指定されている。

 発症年齢のピークは20歳代で、患者は日本だけでも14万人余りと決して少なくはない。症状は下血や粘血便、下痢、腹痛などであり、良くなったり(寛解)悪くなったり(増悪)を繰り返すことが多いのも特徴だ。

 治療は主に薬によるもので、重症例では大腸を全て摘出する手術が必要になることもある。現在の治療では病気を完全に治すことは難しく、症状が出ないようコントロールすることを目標としている。

シワヤハズの抗炎症作用に着目

 佐藤教授ら研究グループは、日本や台湾に生息する褐藻類(コンブやワカメの仲間)の一種、シワヤハズから抽出されるテルペノイド・ゾナロール(以下ゾナロール)という成分に、炎症を抑える作用があることに着目。マウスを使った動物実験から、ゾナロールが炎症を起こす元となるサイトカイン(TNF-α、インターロイキン6、iNOsなど)が生み出されるのを抑えることが分かった。

 さらに、潰瘍性大腸炎のマウスにゾナロールを与えたところ(経口投与)、潰瘍が明らかに改善した。なお、ゾナロールによる有害作用は認められなかった。

 今後の研究の進展により人間の体内でも同様の反応が確認されれば、これまで根本的な治療法のなかった潰瘍性大腸炎を治癒させることができるようになる可能性があるという。

(編集部)

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