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冬場に危険なノロウイルス、窒息や誤嚥性肺炎も

 2014年12月01日 18:30

 冬場に流行する感染性胃腸炎の中でも、特に危険なのがノロウイルスによる急性胃腸炎。「予防が何よりも肝心です」と東邦大学医療センター大橋病院(東京都目黒区)小児科の関根孝司教授は話す。激しい嘔吐(おうと)による脱水症状はもちろん、吐き出したものによる窒息や誤嚥(ごえん=誤って気道などにのみ込むこと)性肺炎も死を招く可能性があるという。予防や感染拡大を防ぐには、手洗いが基本だ。

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発症後48時間は注意

 ノロウイルス感染による急性胃腸炎の特徴の一つは、激しい嘔吐(おうと)だ。人によっては一晩で十数回も嘔吐し、水分の摂取も難しくなる。そのため、特に乳幼児では脱水症状を起こしやすく、適切な水分補給が重要で、点滴が必要になることもまれではない。発症後1~2日の早い段階から、適切な補水を行えば脱水症状のリスクは回避できる。

 一方、「脱水症状と同じくらい危険な合併症に、高齢者や乳幼児の誤嚥(ごえん)による窒息や肺炎があり、意外に知られていません」と関根教授は指摘する。

 窒息は、嘔吐の際の吐き下した汚物で起きる。誤嚥性肺炎は唾液や胃液とともに細菌が肺に入って発症するもので、繰り返し起きる嘔吐のために肺に異物が入り併発する。

 誤嚥性肺炎を防ぐには、特に嘔吐が激しい発症後の48時間は、患者を注意して見守るしかない。肺炎は現在、日本の高齢者の死因第2位になっているほど死亡率が高いため、高齢者がいる家庭では注意が必要だ。

便1グラムに1億個のウイルス

 ノロウイルスの特徴のもう一つは、非常に強い感染力にある。便1グラムの中にウイルスが1億個存在し、わずか10~100個のウイルスを取り込むだけで感染する。また、経口感染とともに空気感染のリスクも高い。

 そのため、家庭で発症した場合は汚物処理も特に注意が必要になる。推奨されているのは「マスク、前掛け、使い捨ての手袋をした上で、2重の袋で密封して捨てる」という処理だ。

 また、汚物が付着した場所は、汚物を取り去った後に次亜塩素酸ナトリウムの家庭用漂白剤を100倍に薄めたもので30分以上漬け置きして殺菌する必要がある。

 外部からの感染を防ぐ最も有効な手段は「手洗い」と関根教授。外部からの感染ルートはほぼ手を介したもので、入念な手洗いをしておけば、外からの感染はほぼ防ぐことができるという。「発症予防することが何よりも重要です」と関根教授は話している。

(編集部)

2013年10月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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