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「病は気から」、メカニズムの一端を解明―大阪大など

 2014年12月05日 10:30

 「病は気から」と昔から言われるように、ストレスや気持ちの変化によって脳(中枢神経)の動きが変わり、免疫機能に影響することはこれまでもよく知られてきた事実だ。しかし、その仕組みについては不明な点が多かった。大阪大学免疫学フロンティア研究センターの鈴木一博准教授らは、「病は気から」のメカニズムを解明する一端を発見したと、11月24日発行の米医学誌「The Journal of Experimental Medicine」(電子版)に報告した。興奮や緊張の際に活発になる交感神経が関与しているという。

交感神経の興奮度によってリンパ球数が増減

 体の免疫にとって重要なのが、白血球の一つであるリンパ球による"パトロール"。リンパ球はリンパ節からリンパ液の中に出て行き、リンパ液が合流する血液によって全身を巡る。

 鈴木准教授らは今回、マウスを使った実験で、リンパ球の表面にある「β2アドレナリン受容体」と呼ばれる物質に注目。調べた結果、β2アドレナリン受容体はケモカインというタンパク質とともに、交感神経の興奮の度合いに応じてリンパ球がリンパ節から出て行く量を調節していることを突き止めた。

 つまり、興奮や緊張など、ストレスや気持ちの変化によって免疫に重要なパトロールをするリンパ球の量が減ってしまうというのだ。ただし、リンパ球は体に悪さを種類もあり、アレルギー性皮膚炎のような自己免疫疾患の場合、ストレスなどの刺激でリンパ球が減ることにより、症状が良くなることも分かった。

 鈴木准教授らは、今後の研究の進展により、交感神経が関与するストレスや気持ちの変化による免疫機能の変動についての詳細なメカニズムが解明されれば、「ストレス応答を制御することによる病気の治療」という全く新しい概念の治療法が開発されていく可能性があるとしている。

(編集部)

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