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全国のビジネスマン腰痛事情、若手男性の3割が苦しむ

 2014年12月08日 10:30

 アッヴィは12月3日、東京都内で開催した腰痛に関するプレスセミナー(エーザイと共催)で、全国の20歳代~40歳代の男性8,745人を対象に行った「全国のビジネスマン腰痛事情の実態調査」の結果を発表した。それによると、長引く腰痛を抱えている人は若手ビジネスマンの約3割に上り、そのうち「40歳以前から腰痛があった」人が9割以上だったという。埼玉医科大学医学部の織田弘美教授(整形外科)らは、若い人の腰痛は"怠け病"とも誤解される原因不明の脊椎の病気「強直性脊椎炎(AS)」の可能性もあり、働き盛り世代にこの病気の存在を知ってほしいと訴えた。(関連記事:「武井壮に仕事奪われる」品川庄司ら腰痛について語る

強直性脊椎炎とは? セルフチェック

 強直性脊椎炎は、腰や首、坐骨(ざこつ)神経、股関節などが腫れて痛む病気。男性は女性の2~3倍といわれ、痛む場所が移動することや、安静にしているより体を動かした方が軽くなるなどの特徴がある。原因不明のため診断がつきづらく、寝込んだ翌日にスポーツができるほど回復するなど症状の波が激しいため、周囲から"怠け病"と誤解されることもしばしば。

 患者の1~2割で発症から10~20年後に脊椎が動かなくなるが、多くの患者は多少の支障があっても日常生活を送れるようだ。日本整形外科学会によると、日本人の有病率は0.0065%という。

 今回の調査では、全国の20歳代~30歳代の働く男性8,745人のうち、3カ月以上の長引く腰痛を抱えている人は約3割に上ることが分かった。これは、日本整形外科学会が2003年に行った全国調査の結果とほぼ同じだ(男性20歳代29.0%、30歳代29.7%、40歳代28.6%)。

 一方で注目だったのが、そのうち「40歳以前から腰痛があった」と回答した人が9割を占めた点。これは、強直性脊椎炎を含む炎症性腰背部痛のチェック項目の一つで、それを含む5項目のうち4項目に該当する人(炎症性腰背部痛の疑いが強い人)も25.9%に上ったという。炎症性腰背部痛のセルフチェック5項目は以下の通り。

1. 腰痛の発症が40歳以前
2. 徐々に痛みを感じるようになった
3. 運動で楽になる
4. 安静にしていても改善しない
5. 夜に痛みが出る
※5項目のうち4項目以上に該当すると強直性脊椎炎を含む炎症性腰背部痛の可能性がある

 織田教授は「腰痛の中には、自然に症状が改善せず治療が必要な炎症性腰背部痛も少なくなく、まれに悪性腫瘍が隠れていて命に関わる場合もあります」と指摘。炎症性腰背部痛の中でも強直性脊椎炎は若い世代での発症が多いことから、腰痛がつらいと思ったら早めに医療機関を受診するよう勧めた。

「腰痛は努力で治らない」

 東京大学医学部の門野夕峰講師(整形外科・脊椎外科)によると、強直性脊椎炎は進行すると体のこわばりが強くなり、日常生活に支障を来して患者は非常につらい思いをするが、見た目は健康体と全く変わらないため、周囲から「怠けている」と思われるほか、「姿勢など日常生活の改善で治る」と誤解されることが多いという。

 今回の調査でも、腰痛の原因を「姿勢などの生活習慣」と考える人が約8割に上っており、門野講師は「努力で腰痛は治る」というイメージが根強いことが医療機関を受診する人が少ない一因と指摘。強直性脊椎炎は治療が必須の病気であることを強調した。

 また門野講師は、長引く腰痛が仕事の効率低下などにつながるという今回の調査結果を紹介した上で、ビジネスマンにとって腰痛によるダメージは心身両面で大きいと指摘。長引く腰痛に悩む人は、リウマチ医や整形外科医、特に脊椎関節学会所属の医師を受診するようアドバイスした。

(小山 聖子)

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