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手塚治虫"天皇の執刀医"予言していた? 「BJ」展開催中

 2015年03月03日 10:30

 1973~78年に漫画誌「週刊少年チャンピオン」で連載されていた手塚治虫の「ブラック・ジャック」。医師免許を持つ作者が描いた医療マンガの金字塔は、今の医療現場をリードする医師たちにも多くの影響を及ぼしている。そんな現役医師たちの思いを同作品の名シーンを介して伝える展覧会「医師たちのブラック・ジャック展」が、2月28日から京都国際マンガミュージアムで開催されている。手塚治虫が同作中で、2012年に行われた天皇陛下の心臓手術を執刀した医師を予言していたかのようなエピソードも紹介されている。

医師15人が「BJ」の名シーン選ぶ

 この展覧会は、日本医学会と京都国際マンガミュージアムの共同企画として実現。同ミュージアムが漫画業界以外の団体とイベントを共催するのは初という。同展のプロデューサーを務めた同ミュージアムの安部一郎・運営統括室長は「漫画作品を学究的に掘り下げるという通常の手法ではなく、医師らが『ブラック・ジャック』という作品から受けた感銘と思いを伝える展示となるよう工夫した」と話す。

 会場で最初に目に飛び込んでくるのは、外科を中心に第一線で活躍する医師ら15人が選んだ「ブラック・ジャック」の名シーンを展示したパネルだ。選者のコメントとともに、そのシーンが描かれたストーリーの1話分を読むことができる。

 その中の一つは「T大学でブラック・ジャックがA国皇帝陛下の手術を行う」「日本ではJ大学の鈴木教授しか成功例がない」...という内容。どこかで聞いたことのあるようなこのストーリー、選者は、2012年に東大病院で天皇陛下の手術を執刀した順天堂大学心臓血管外科の天野篤教授だ。「手塚治虫は予言者だといわれているが、こんな奇跡的な偶然を目の当たりにできるのはとても興味深い」と安部室長は話す。

"漫画家・治虫"と"医師・治"の融合も

 また、"医師・手塚治"の姿に触れられる展示も用意。すでに漫画家として充実期を迎えつつあった1960年に「奈良県立医科大学解剖学教室電子顕微鏡研究室 手塚治」として執筆した医学博士論文「異型精子細胞における膜構造の電子顕微鏡的研究」が紹介されている。

 加えて、同ミュージアムの館長を務める養老孟司氏(東京大学名誉教授)の「僕は手塚さんのスケッチを論文で見た記憶がある」という言葉を手がかりに見つけられた、海外医学雑誌に掲載されたスケッチ3点(複製)も展示されている。電子顕微鏡画像を立体的に書き起こしたもので、漫画家・手塚治虫の画力が医学論文の中で発揮されるさまが見て取れる。

 この展覧会の実現を主導した、第29回日本医学会総会で総務委員を務める京都大学大学院外科学講座の高折恭一准教授は「(『ブラック・ジャック』を)中高生の頃に読んで影響を受けた。外科医を志すきっかけになっている」とコメント。さらに「ぜひ多くの人に足を運んでいただきたい。特に若い人に、医学や外科の魅力を知ってもらえれば」と話している。

(編集部)

「医師たちのブラック・ジャック展」

開催期間:2015年2月28日(土)~5月10日(日) ※毎週水曜(除く4月1、29日、5月6日)、4月30日、5月7日は閉館
開館時間:10~18時(最終入館は17時30分)
会場:京都国際マンガミュージアム(京都市中京区烏丸通御池上ル) 2階 ギャラリー1・2・3

入場:無料(ただしミュージアム入場料は別途必要)
展示内容
・医師が選ぶ「ブラック・ジャック」の名シーンパネル
・三浦みつるによる「ブラック・ジャックREAL~感動の医療体験談~」原稿
・「ブラック・ジャック」人気作品ベスト40 パネル
・記念撮影コーナー
・「医学史展」PRコーナー

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