メニューを開く 検索

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  移植待ちの心不全患者に朗報...iPS細胞の応用、来年にも―阪大

疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」一覧

移植待ちの心不全患者に朗報...iPS細胞の応用、来年にも―阪大

 2015年05月01日 06:00

 重い心不全を根本的に治す方法は心臓移植だけだが、心臓のドナー(提供者)は慢性的に不足しており、補助人工心臓を使いながら待機している患者は少なくない。こうした中、大阪大学医学部の宮川繁・特任准教授(心臓血管外科・免疫再生制御学)は、4月24~26日に大阪市で開かれた日本循環器学会の会合で、人工多能性幹(iPS)細胞から作られた心筋細胞シート移植による治療法が開発され,来年にも医療現場に応用される見込みであることを報告した。

動物実験で有効性を確認

 大阪大ではこれまで、重症の心不全に対して心筋以外の細胞シートを移植する治療法(自己骨格筋芽細胞シート移植治療)を開発し,2007年からは実際に患者への使用を始めている。補助人工心臓を着けている患者4人に移植し,うち2人が補助人工心臓を外すことができた。補助人工心臓を着けていない患者25人にも移植し、心臓機能や入院回数が改善した。

 しかし、この細胞シート移植が効かない重症心不全患者もいる。今回のiPS細胞からつくった心筋細胞シートの移植は、こうした患者が対象になるという。

 宮川特任准教授らの研究グループは、iPS細胞から心臓の筋肉細胞のシートをつくり、心筋梗塞を起こした動物(ラットやミニブタ)の心筋に移植し,それぞれで有効性を確認している。筋芽細胞シートと比べても、心臓の機能がより向上していたとしている。

 同特任准教授は「すでに京都大学iPS細胞研究所(CiRA)から提供されたiPS細胞から心筋細胞シートを作製しており,安全性を確認した後,来年にも臨床応用を実施したい」と報告した。

(あなたの健康百科編集部)

ワンクリックアンケート

円安水準を更新。円安で何を思う?

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  移植待ちの心不全患者に朗報...iPS細胞の応用、来年にも―阪大