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実践しよう! 首・腰・膝・指の関節保護―神戸大リウマチ教室

 2015年08月27日 10:30

 関節リウマチ患者において変形が起こりやすい関節は、首、腰、膝、指などが挙げられる。こうした関節を守ることが大切だが、具体的にはどのようにすればよいだろうか。今年6月に開催された神戸大学の整形外科リウマチ教室「関節保護と運動療法」(司会=同科・三浦靖史准教授)では、同大学リハビリテーション部の理学療法士、松野凌馬氏が関節保護の方法について詳しくアドバイスした。

首の関節保護

 関節リウマチ患者の約3割に首の関節破壊が見られるという。症状が出ないこともあるが、首を動かしたときにゴリゴリと音が鳴ることが多く、ひどくなると脊椎を損傷して手のしびれや麻痺(まひ)、腕が上がらないといった症状が出ることがある。首の関節を保護するには、「無理な姿勢を避ける」「首に衝撃を与えない」のが基本だ。 

 「特に首に負担がかかる動作はうつむき姿勢。読書などで長時間うつむき姿勢になるのを避け、書見台を利用するなどの工夫をしましょう。高い枕は避けてバスタオルをたたんだものなどを代用して低い枕にすること。起床時に足で反動をつけて起きる動作は避け、一度横向きになってから起きるなどの工夫をしてください」(松野氏)

腰の関節保護

 体の動作の要となるのが腰。腰の痛みに悩まされている人も少なくないのではないだろうか。

 「肩掛けカバンをいつも同じ肩で持つと背骨や骨盤の歪みにつながったり、腰に負担がかかります。両手持ちにするかリュックサック、キャリーバッグを利用するとよいでしょう。椅子には背筋を伸ばして正しい姿勢で座るのが重要。足はできるだけ組まないようにして、腰を下ろす際にはゆっくり腰掛けるようにしましょう」(松野氏)

 重いものを持たなければいけない場合には、片膝を立てて腰を落とし、持ち上げるものにできるだけ近づき、膝を使って持ち上げるようにする。背骨を支える腹筋と背筋を鍛えるのも、腰の負担を軽減する上では有効だ。

膝の関節保護

 膝は最も大きく力が強い関節で、日常生活で頼ることが多い。立つ、歩く、階段を上るなど、日常生活の多くの場面で膝関節に負担がかかるので、うまく軽減することが大切だ。

 立ち上がり動作では、座面を高くすることで膝の負担を軽減できる。風呂の座椅子は高いものを選び、トイレの便器には座面を上げる補助具を設置するとよい。

 関節リウマチ患者は女性が多いため、調理や洗い物など立った姿勢での家事を行わなければならない人が少なくない。高めの椅子に腰掛けたり、ときどき休憩するなど、長い時間立ちっぱなしにならないよう工夫が必要だ。

 階段の上り下りは体重の約7倍の負荷が膝にかかるため、できるだけ避け、エレベーターなどを利用した方がよい。階段を使う場合は手すりなどを使ってゆっくりと昇降しよう。

指の関節保護

 指は日常生活で使う機会がとても多いため、変形しやすい部位。そのため、関節を守る動作を知っておくことが大切だ。鍋を持つときには両手で持つようにする、買い物袋や鞄を持つときには手で持たず腕にかける、立ち上がるときには手をつかず前のめりになって肘をついて立つのがよい。

 靴下を履くときや挟みを使うとき、ペットボトルや缶を開けるときに便利な自助具もある。スプーンやフォークは柄が太いものを使おう。

関節を保護する装具、選ぶポイントは?

 関節を保護する装具として、頸椎カラー、コルセット・骨盤ベルト、サポーターなどがある。

 装具の役割は不安定な関節を固定して、傷みを緩和し変形を予防すること。使う場合は主治医と相談してからだが、装具を選ぶ際に重要なポイントがあるという。

 「装具の構造が簡単で軽量のもの、見た目が目立たないもの、着脱が容易で装着感が良いものなどを選んでください。特に、着脱が難しい装具はどうしても使う機会が減ってしまいます。きちんと使い続けるためにも着脱が簡単なものがお勧めです」と松野氏はアドバイスした。

(長谷川 愛子)

神戸大学整形外科リウマチ教室
 神戸大学整形外科では、関節リウマチ患者が自分の病気についての理解を深め、より良い療養生活を営めるアドバイスを伝える目的で、2003年から毎月1回、同大学病院で患者教室を開講している。同院に通う人だけでなく、他の医療機関や診療科で治療を受けている関節リウマチ患者、患者の家族、医療関係者など、関節リウマチに関心を寄せる全ての人に門戸を広げている。

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