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太るほど中性脂肪が高くなるのはなぜ? 東北大が解明

 2015年09月09日 06:00

 メタボ(メタボリックシンドローム)が話題になって久しいが、その一つの基準となっているのが中性脂肪。太れば太るほど値が高くなるのだが、その仕組みを東北大学(仙台市)の研究グループが明らかにし、8月13日発行の国際専門誌「Nature Communications」(電子版)に報告した。そこには、脳と肝臓が関係しているようだ。

動脈硬化を招く

 食べ過ぎや運動不足などの生活習慣が続くと、消費されない余分なエネルギーは脂肪に替えられ、体の中に蓄えられる。これが進んだ状態が肥満だが、肥満となると血液の中の中性脂肪の値が高くなり、肝臓でのアミノ酸の量が増えることが知られている。

 血液中の中性脂肪の値が高くなると動脈硬化になりやすく、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気になる危険性が高くなる。メタボリックシンドロームは動脈硬化の発症と深く関係することから、医学的にも社会的にも問題となっている。

太るほど脂肪が分解されず

 研究グループは今回、太ると中性脂肪の値が高くなるだけでなく、肝臓でのアミノ酸の量が増えることに着目。太らせずに肝臓へのアミノ酸が流れる量だけ増やしたマウスを使い、どのような変化が起きるかを調査した。

 その結果、肥満でないにもかかわらず、マウスの血液中の中性脂肪値が高くなっていた。その仕組みを調べたところ、肝臓でのアミノ酸が増えたという情報が脳に伝えられ、情報を受け取った脳は血液中の中性脂肪を分解する酵素のリポタンパクリパーゼ(LPL)を減らすよう、神経を使って指令を出すことが分かった。

 中性脂肪はLPLによって分解されると、体を動かすためのエネルギー源などになって減っていく。しかし、分解酵素を減らす指令が出たために中性脂肪が分解されなくなり、血液中の中性脂肪の値が高くなったのだ。

 一方、LPLを減らす指令を遮断したところ、たとえマウスが太っても、中性脂肪の分解が進んで中性脂肪の上昇が抑えられていた。つまり、太っている人で中性脂肪が高くなるのは太っていることが原因ではなく、肝臓でアミノ酸が増えたという情報が脳に伝えられ、脳がLPLを減らすよう指令を出すという仕組みにあることが分かった。

 これらの結果から研究グループは、メタボリックシンドロームの新たな治療法の開発や動脈硬化の予防法の開発が期待されるとしている。

(あなたの健康百科編集部)

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