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「泣くから悲しい」説は本当だった? 早稲田大調べ

 2016年01月27日 06:00

 普通、悲しい気分が起きて涙が出ると考えられているが、その逆を唱えているのが「泣くから悲しい」説。体の反応があってから感情が湧き起こるとする説なのだが、それを間接的に裏付けるような研究結果が、早稲田大学理工学術院の渡邊克巳教授らによって、1月11日発行の米科学誌「PNAS」(電子版)に報告された。音声に感情表現を与えるデジタル音声装置(DAVID)を使い"楽しい" "悲しい" "怖がっている"ような声に変えて参加者に聞かせたところ、声に気持ちが同調したという。

"楽しげな声"を聞くと楽しくなる

 「泣くから悲しい」説は、泣くという体の反応があってから悲しいという感情が湧くというもの。米国の心理学者ウイリアム・ジェームズとデンマークの心理学者カール・ランゲによって唱えられたことから、ジェームズ・ランゲ説とも呼ばれている。

 渡邊教授らは、人が話している時に、その音声の高さなどを微妙に変えることで、ほぼリアルタイムに声が表す感情を変化できるデジタル音声装置「DAVID」を開発。今回は実験の参加者に村上春樹の短編小説の一部を淡々と音読させ、DAVIDを使って"楽しい""悲しい""怖がっている"ような声へと徐々に調節してヘッドホンから聞かせ、実験の前後で気持ちがどう変化したかを回答してもらった。

 その結果、ほとんどの参加者が自分の声の変化に気付かぬうちに、声に同調するよう気持ちが変化したと回答。意識的に声に感情を込めなくても、外部からの操作だけで気持ちを変化できるというこの結果は、「泣くから悲しい」説の間接的な証拠にもなるとしている。

 さらに研究が進めば、気分障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)など精神疾患の患者に、ポジティブな感情を誘導するなど医療分野への応用も期待できるだろう。なお、DAVIDはネット上で無料公開されており、ダウンロードして利用できる。

(あなたの健康百科編集部)

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