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加糖飲料や100%果汁飲料の摂取でがん発症リスクが高まる

 2019年08月09日 06:00

 猛暑が続く夏、冷たいジュースを飲む機会が増えているのではないだろうか。しかし、加糖飲料や糖分を多く含む100%果汁飲料といった甘味飲料を飲む量が増えると、がんになるリスクが高まるとフランスの研究グループが報告した(BMJ 2019; 365: l2408)。

フランス在住の10万1,257人を対象に調査

 甘味飲料の消費量は世界的に急増しており、肥満、2型糖尿病、心血管疾患を引き起こすリスクを高める食習慣だと注視されている。一方、甘味飲料とがんの関連性についてはあまり研究されていなかった。

 そこで研究グループは、18歳以上のフランス人10万1,257人(平均年齢42.2歳)を対象とした住民研究において、甘味飲料(100%果汁飲料を除く単糖類5%超を含有する加糖飲料、100%果汁飲料)および人工甘味料入り飲料の消費量とがんの発症との関連を2009〜18年まで追跡調査した。

 1日当たりの消費量は甘味飲料が平均92.9mL、100%果汁飲料が平均55.8mL、100%果汁飲料以外の加糖飲料が平均45.0mL、人工甘味料入り飲料が平均24.4mLであった。甘味飲料と人工甘味料入り飲料全体のうち、100%果汁飲料は45%、100%果汁飲料を除く加糖飲料は36%、人工甘味料入り飲料は19%を占めていた。なお、100%果汁飲料の糖分は中央値で10.3g/100mL、100%果汁飲料以外の加糖飲料の糖分は中央値で10.9g/100mLであった。

100%果汁飲料でもがん発症リスクが高まる

 調査の結果、甘味飲料の1日当たりの消費量が100mL増えるごとに、がんを発症するリスクは18%、乳がんを発症するリスクは22%高まることが分かった。また、100%果汁飲料だけに限っても1日当たりの消費量が100mL増えると、がんを発症するリスクは12%高まることが明らかになった。一方、人工甘味料入り飲料にはがんの発症との関連性は見られなかったという。研究グループは「砂糖を加えていない100%果汁飲料でもがんの発症リスクが高まることは注目すべき結果だ」と述べている。

 なぜ甘味飲料を摂取するとがんを発症するリスクが高まるのだろうか。研究グループは、甘味飲料は肥満だけでなく、肥満に至らなくても内臓脂肪の増加と関連すること、急激な血糖値の上昇に伴いC反応性蛋白など全身性の炎症反応が引き起こされることで、がんの発症リスクを高めると考察した。今回、人工甘味料入り飲料とがんの関連性が見られなかったことについては、「人工甘味入り飲料の消費量が比較的少なかったため、さらなる検討が必要である」としている。

あなたの健康百科編集部

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