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教育動画『赤ちゃんが泣き止まない』視聴で赤ちゃんへの虐待が半減

 2020年03月10日 06:00

 "オムツを替える、授乳する、抱っこしてあやす...それでも赤ちゃんが泣きやまない、どうしてこんなに泣き続けるの?"

 そんなストレスを抱えている育児中の保護者は多く、赤ちゃんを激しく揺さぶる、クッションや手で口を塞ぐといった虐待行為につながってしまう事例も少なくない。児童虐待による死亡事例の原因の4分の1は頭部外傷であり、その多くが赤ちゃんの体を激しく揺さぶることによって引き起こされる"乳幼児揺さぶられ症候群"だといわれている。東京医科歯科大学教授の藤原武男氏らの研究グループは、乳児虐待防止の目的で厚生労働省と共同で作成した教育動画『赤ちゃんが泣きやまない〜泣きへの理解と対処のために〜』を見た保護者では見なかった保護者と比べて、赤ちゃんへの揺さぶりや口塞ぎの虐待行為が半減したことをChild Abuse Negl2020; 101: 1014359)に報告した。

乳児家庭訪問時に教育動画を見る機会を設定

 研究グループは、首都圏某市での乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)として、助産師、保健師、トレーニングを受けたボランティアが生後2カ月時に実施する家庭訪問時に動画を見る機会を設けた。その後、生後4カ月健診の際に自己申告による調査票を用いて、動画視聴の有無、赤ちゃんが泣いているときに激しく揺さぶった頻度、赤ちゃんの口を手やクッションなどで塞いだ頻度を調査した。有効回答が得られた5,961人(有効回答率73.8%)について解析を行った。

動画.  『赤ちゃんが泣きやまない〜泣きへの理解と対処のために〜」(厚生労働省)

赤ちゃんの泣きの特徴、激しい揺さぶりが赤ちゃんの脳に与える傷害のメカニズムと影響、赤ちゃんの泣きへの対処法といった内容の11分の教育動画

教育動画の視聴で激しい揺さぶりが74%、口塞ぎは43%低下

 解析の結果、教育動画を見た保護者では見なかった保護者と比べて赤ちゃんを激しく揺さぶる行為が74%、口を塞ぐ行為は43%低く、また、いずれかの虐待行為を起こす割合は52%低いことが分かった。

 研究グループは、全ての保護者に赤ちゃんの泣きの特徴と揺さぶりや口塞ぎが赤ちゃんの体に与えるリスクを学べる教育動画を見てもらうことで、乳幼児揺さぶられ症候群を半減できる可能性があるとしている。

(あなたの健康百科編集部)

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