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知られざる慢性腎臓病の怖さ

 2020年03月30日 06:00

 日本での患者数が約1,300万人と推定され、世界の死亡原因の12位に位置している慢性腎臓病(CKD)。今世界的に注目されているCKDとは、どのような病気かご存じだろうか。日本腎臓病協会と協和キリンが2月18日に東京都で開いたプレスセミナーでは、CKDの認知度について現状が報告された。

人工透析に至るケースも

 腎臓とは、腰の辺りに2つあるそら豆のような形をした握りこぶし大の臓器だ。この小さな臓器には、毛細血管が毛糸玉のように丸まった「糸球体」という器官で、心臓から送り出される血液の老廃物や塩分を濾過し、尿として体外へ排出する重要な役割を担っている。CKDとは、なんらかの腎障害が3カ月以上続く状態を指す。原因は加齢、あるいは糖尿病や高血圧症などの病気によるが、放っておくと腎機能がどんどん低下してしまい、最終的には末期腎不全となり、人工的に老廃物を取り除く人工透析療法が必要となるケースもある。

 CKDの診断で重要な指標が、1分間に糸球体が血液を濾過して尿をつくる量を表わす糸球体濾過量(GFR)だ。加齢に伴うGFR低下は避けられないが、日本腎臓学会CKD対策委員会疫学ワーキンググループのシミュレーションでは、健康な人のGFRは100mL/分/1.73m2前後であるのに対し、男女とも40~50歳代でGFRが60mL/分/1.73m2未満の場合、平均余命前に腎機能が失われてしまう場合がある。

脳梗塞や心筋梗塞にもつながりうる

 一般の人にCKDがどの程度知られ、どの程度理解されているかについて、日本腎臓病協会などが20~50歳代の1,727人を対象にアンケートを実施した。その結果、CKDの認知度は20~30歳代の若年層ほど低く、全年齢層のうち、年に1回以上健康診断を受けている層で高いことが分かった。また、CKDが悪化すると人工透析による継続的な治療にが必要なことはよく知られていた一方で、CKDが脳梗塞、心筋梗塞の発症リスクであることを知っている割合は全年齢層を通して低かった。

 日本とドイツの医学的なつながりから、日本での医学研究活動を支援する「エルウィン・フォン・ベルツ賞(ベルツ賞)」。57回目を迎えた今回(2020年度)は、世界的に注目度の高い慢性腎臓病(CKD)をテーマとした論文を募集している。

(あなたの健康百科編集部)

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