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繰り返すぼうこう炎―原因にがんや糖尿病も

 2024年03月08日 10:00

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 ぼうこう炎のほとんどは細菌感染による急性で、通常は抗菌薬を服用して1週間前後で治る。ところが、薬を飲んでも症状が長引いたり、再発を繰り返したりする場合は要注意だ。東京慈恵会医科大学付属病院(東京都港区)泌尿器科の本田真理子講師は「治りにくく、繰り返すぼうこう炎は、他の原因が元で起こる場合があります。高齢者では、がんや結石、糖尿病や脳神経の病気に伴うぼうこう炎が多く見られます」と話す。

▽残尿や免疫低下で

 ぼうこう炎は、尿の通り道に主に細菌が侵入して炎症を起こす尿路感染症の一つ。頻尿や残尿感、排尿痛、血尿などが見られる。「急性のぼうこう炎は、背景に他の病気がない『単純性』のもので、抗菌薬の服用で完治可能です。しかし、原因となる他の病気があるぼうこう炎は『複雑性』と呼ばれ、慢性化し再発を繰り返しやすいのが特徴です」

 糖尿病による神経障害や脳神経の病気(脳血管障害やアルツハイマー病など)が原因でぼうこうの働きが悪くなる「神経因性ぼうこう」では、尿意を感じにくいため、ぼうこうにいつも尿がたまって細菌の温床になる。前立腺肥大症や前立腺がん、ぼうこうがんやぼうこう結石などでも尿を出しきれず、感染を起こすことがある。

 「複雑性のぼうこう炎は、糖尿病、ステロイドや抗がん剤投与中などによる免疫低下で起こるケースもあります。腎臓から尿道まではつながっているため、腎盂(じんう)腎炎や、細菌による炎症が全身に及ぶ敗血症を合併して高熱が出るケースもあります」

▽自己導尿でぼうこうを空に

 ぼうこう炎が治りにくいときは、原因になっている病気を突き止めて治療する。しかし、残尿がある場合、ぼうこうへの感染を防ぐために、薬物治療で残尿を減らす必要がある。

 「尿を自力で十分に出せなければ、患者自身や介護者が定期的に管を尿道に入れて尿を出す間欠自己導尿が有効です。他の治療法が困難であれば、医療者が尿道に管を入れて尿を出す尿道留置カテーテルがあります」

 排尿によって菌は体外に排出される。尿量を保つため、日常生活では適量の水分を取るとよい。1日の水分摂取量、排尿の時刻と量、排尿時の症状を記録する排尿日誌をつけると、排尿に問題がないかを知るのに役立つ。尿量は、市販の500ミリリットルくらいの取っ手付き計量カップで測るとよい。

 本田講師は「頻尿や血尿、尿の濁りや臭いが強い、尿が出にくい、時々発熱する、下腹が張っているなどの症状が続くときは早めにかかりつけ医や泌尿器科を受診しましょう」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)

   ◇   ◇

 東京慈恵会医科大学付属病院の所在地 〒105―8471 東京都港区西新橋3の19の18 電話03(3433)1111(代)

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