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軽い負荷で筋肉量維持―スロートレーニング

 2024年03月15日 10:00

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 軽い負荷をかけた状態で、ゆっくりと筋肉を動かすスロートレーニング(スロトレ)。家庭で簡単にでき、重い負荷をかける筋力トレーニングと同程度の効果が期待できるため、筋肉量や体力が低下した高齢者にも適しているという。スロトレの考案者である東京大学の石井直方名誉教授に話を聞いた。

▽負荷を緩めず動く

 筋肉は30歳を過ぎると減り始め、下肢、体幹の筋肉は80歳までの50年間で約半分にまで減るとされている。一定水準を超えて筋肉量と筋力が低下するとサルコペニア、さらに進行するとフレイルと呼ばれる虚弱状態になり、そのままでは要介護リスクが高まる。そこで、近年注目されているのが、健康寿命を延ばすために行う筋トレだ。

 筋肉に強い負荷をかける筋トレは血圧の上昇やけがなど、特に高齢者には危険も伴う。スロトレは低負荷、少ない頻度で筋肉を強く、太くできることが利点だ。「筋肉は力を出して収縮すると血流量が制限され、筋肉内が低酸素状態となって筋肉の発達を誘発します。スロトレはこの仕組みを利用し、日常生活ではあまり使わない速筋線維を鍛えて太く、強くするのです」と石井名誉教授。

 ポイントは筋肉への負荷を緩めず、筋力の発揮を長時間持続しながら、ゆっくり動かすこと。「筋肉にとってつらい状態になると、筋肉の中でたんぱく質の合成が高まることも複数の研究で確かめられています」

▽自分のペースで継続を

 加齢に伴って特に落ちやすい太もも、お尻、背中の筋肉を鍛えるにはスクワットがお勧めだ。足を肩幅に開き、股関節に手の甲を当てて、4秒でゆっくり腰を落とし、4秒で腰を上げる。この動作をゆっくり5~8回繰り返す。膝は伸ばし切らず、呼吸を止めずに1日3セットを週2~3回行う。

 転倒予防には壁を使って足腰、背中、お尻を鍛える体幹トレーニングも取り入れたい。壁に右手を突き、息を吐きながら左ももが床と平行になるくらいまで上げ、息を吸いながら4秒で後ろに蹴り、息を吐きながら4秒で戻す。きついと感じる回数を1~3セット繰り返す。反対側も同様にする。

 「回数よりもご自身のやりやすい方法で長く続けることが大事です。運動と栄養は両輪ですので、高齢者こそたんぱく質の摂取や、1日3食バランスの良い食事を心掛け、趣味など人生を楽しむためにスロトレを活用してください」

 健康のためにウオーキングを日課にする高齢者は多いが、石井名誉教授は「歩くだけでは筋肉の衰えは防げません。ウオーキングの前にスクワットを1セットやってみるなど、スロトレと合わせて行うのが良いでしょう」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)

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