ALT、30U/L超は受診を―肝臓病のサインかも
2024年04月25日 10:00
肝臓に最も多く含まれる酵素の一種ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)は、健康診断や医療機関の定期検査での血液検査項目の一つ。その値が「30U/L」を超えていたら、肝臓病が隠れているかもしれない。日本肝臓学会理事の吉治仁志・奈良県立医科大学教授に話を聞いた。
▽自覚症状なく進行
「肝臓病は自覚症状がほとんどなく、知らない間に肝硬変や肝臓がんまで進んでいることが多い。もっと早期から肝臓病を拾い上げ、治療できればより多くの患者さんの命を救うことができます」
これまで高率に見られる肝臓病はウイルス性肝炎であったが、新たな抗ウイルス薬の登場などで治療成績は大幅に向上した。代わって、肥満、糖尿病などの生活習慣病を基に発症する非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や酒の飲み過ぎによるアルコール性肝疾患は年々増加。肝硬変、肝臓がんに進むケースも増えている。
▽肝臓病のチェックを
ALTに注目した点について、吉治教授は「肝機能の検査項目の中にALTは必ずと言っていいほど含まれています。また、ALTは肝臓以外の臓器にほぼ含まれていないため、より肝機能に特化した検査項目と考えられます」と説明する。
ウイルス性肝炎、NAFLD、アルコール性肝疾患など、「どの肝臓病でも、肝細胞が傷つくことでALTが肝細胞から漏れ出て血中濃度が高くなります」
ALT30U/Lを上回ると、肝臓に何らかの異常が起こるとのデータが多くある。「健診などで30U/Lを超えていたら、肝臓病が隠れているサインかもしれないと考え、かかりつけ医で肝臓病の有無を調べてください」と話す。
日本肝臓学会は6月に奈良市で開いた総会で、ALT30U/L超の人はかかりつけ医を受診してほしいという「奈良宣言2023」を発表した。「特に肥満の人やお酒をよく飲む人、30U/L超との結果が続いている人は受診を勧めます。肝臓病が疑われる場合は、消化器内科などの専門診療科で詳しい検査を受けるとよいでしょう」と吉治教授はアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)
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