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肝脾腫と血小板減少例はゴーシェ病を考慮

 2016年12月08日 07:00

 希少・難治性疾患の1つであるゴーシェ病は、先天性代謝異常症で進行性の疾患だがその治療法は確立しており、患者を早期に発見し治療を開始する意義は大きいとされる。先ごろ東京都内で開かれた「ゴーシェ病メディアラウンドテーブル」(主催:サノフィ)では、東京慈恵会医科大学小児科教授の井田博幸氏が「日常診療で肝脾腫、血小板減少、骨痛などがある患者を診たら、ゴーシェ病を念頭に置いてほしい」と訴えた。また、昭和大学内科学血液内科准教授の原田浩史氏は「ゴーシェ病は血液疾患と症状が類似しているため、診断されず治療を受けていない患者が少なくなく、血液内科医の果たす役割は大きい」と指摘した。

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疑いが強ければ専門家に相談

 まず、井田氏は、ゴーシェ病の最近の診断と治療の考え方を示した。

 ゴーシェ病は、ライソゾーム内の加水分解酵素であるグルコセレブロシダーゼの遺伝的活性低下あるいは欠損により、基質であるグルコシルセラミドが肝臓、脾臓、骨髄に蓄積することで発症するライソゾーム病の1つ。主な症状は肝脾腫、血小板減少、貧血で、骨痛、病的骨折を生じる場合もある。他の症状として、グルコシルスフィンゴシンの脳内蓄積による発達遅延や痙攣、斜視、眼球運動失行などの神経症状が見られる。日本人での有病率は約33万人に1人とされる。

 ゴーシェ病は神経症状の有無とその重症度によりⅠ〜Ⅲ型に分類される。神経症状の見られないⅠ型は予後良好だが、神経症状が強く出現するⅡ型の予後は不良である。Ⅲ型はⅠ型とⅡ型の中間タイプで、予後は症例によって異なるとされる。欧米諸国ではI型が大多数を占めているが、わが国ではI〜Ⅲ型の頻度はほぼ同程度であるという。

 小児で肝脾腫、腹部膨満が認められ、血小板減少も確認された場合は、「酸性ホスファターゼ(ACP)とアンジオテンシン変換酵素(ACE)を測定し、上昇している場合はゴーシェ病の疑いが強いので、専門医に相談してほしい」と同氏は言う。一方、成人では肝脾腫が軽度なため血小板減少から発見されることが多く「血小板減少が認められた場合には、可能性としてゴーシェ病を疑い、ACPとACEの検査および触診あるいはエコーによる肝脾腫の確認を行うことが望ましい」と同氏。確定診断は、皮膚や骨髄から細胞を採取し、グルコセレブロシダーゼの活性測定によって行う()。

図. ゴーシェ病の診断

(ゴーシェ病 診断・治療ハンドブック編集委員会
編集・監修:ゴーシェ病 診断・治療ハンドブック第2版、2016)

治療の選択肢広がる

 ゴーシェ病と診断されると、2週に1回、点滴静注により欠損した酵素を補充する酵素補充療法(ERT)や体内に蓄積するグルコシルセラミドの合成を抑制する経口薬による治療が行われる。井田氏は「日本では小児期発症で進行型が多いため、治療の第一選択はERTで、スイッチ療法として基質合成抑制療法が行われる場合が多い」と指摘した。

 その上で同氏は「ゴーシェ病の症状は全身症状、骨症状、神経症状など多彩であり、診断が遅れると病態が進行する場合がある。日常の診療の中でゴーシェ病の可能性を念頭に置いてほしい」と訴えた。

血液内科医の役割は重要

 続いて原田氏は、ゴーシェ病の診療において血液内科医が果たす役割について述べた。

 血液内科医のゴーシェ病に対する認識を調べるため、米国の研究グループが世界の血液内科医/腫瘍内科医406人(日本人医師50人を含む)を対象に『42歳男性:貧血、血小板減少、肝腫大、脾腫、急性または慢性骨痛を認めた場合、どのような疾患が関連していると思われるか』と尋ねたところ、白血病が65%、リンパ腫が36%、多発性骨髄腫が22%などで、ゴーシェ病の指摘は20%と少なかった。同氏は「80%の医師がゴーシェ病を思い付かなかったことを示し、鑑別診断をきちんとできるよう啓発が必要だ」と指摘した。

患者が身近にいる可能性も

 ゴーシェ病は発症頻度が低く、患者と遭遇する機会は少ないという指摘もあるが、原田氏は必ずしもそうではないことを示すデータを紹介した。

 イタリアのグループが報告した研究で、対象は35施設の血液内科外来を原因不明の脾腫または(および)血小板減少で受診したユダヤ人を含まない成人患者196例。乾燥濾紙血検査でグルコセレブロシダーゼ活性を測定し、正常下限値未満の患者には有核細胞の同酵素活性測定を行い、活性低下例には遺伝子解析を施行し診断を確定した。その結果、ゴーシェ病の有病率は3.6%(196例中7例)であった。同氏は「ゴーシェ病の患者が身近にいる可能性を示すものだ」と述べた。

 血液内科医にとってゴーシェ病が重要であるのは、成人期の発症が見られ、肝脾腫や貧血、血小板減少、骨病変といった血液疾患でよく見られる症状を有するためである。また、ゴーシェ細胞と他の血液疾患で見られる偽ゴーシェ細胞の鑑別が求められ、さらには高γグロブリン血症・多発性骨髄腫の頻度も高い。

 同氏は「ゴーシェ病は血液疾患と症状が類似しているため、診断されず治療を受けていない患者が少なくない。早期治療により骨症状の進行が抑制されることが分かっている。日常診療においてゴーシェ病は念頭に置くべき疾患であり、血液内科医の果たすべき役割は極めて大きい」と強調した。         

伊藤 茂

  

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