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シェーグレンに2剤併用が有効

ベリムマブ+リツキシマブ

2023年01月12日 17:15

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イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 原発性シェーグレン症候群(pSS)のB細胞異常に対して、作用機序の異なる抗体医薬を組み合わせることで相乗効果が得られる可能性がある。フランス・国立衛生医学研究所(INSERM)のXavier Mariette氏らは、抗Bリンパ球刺激因子(BLyS)モノクローナル抗体ベリムマブと抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブ併用のpSSに対する安全性と有効性を検討する第Ⅱ相国際二重盲検ランダム化比較試験(RCT)を実施。併用療法の安全性は単剤療法と同等であり、併用により唾液腺B細胞の破壊が促進され、臨床転帰の改善につながる可能性が示唆されたことをJCI Insight2022; 7:e163030)で報告した。

4群ランダム化の探索的試験

 pSSは、B細胞過活動とBLySの増加を特徴とする自己免疫疾患である。ベリムマブなどBLyS標的治療は、末梢のメモリーB細胞を増加させ、ナイーブB細胞、活性化B細胞、血漿B細胞のサブセットを減少させることにより、B細胞再構成時の選択性を高める。一方、リツキシマブなどのCD20を標的とする治療は、循環血中のCD20陽性B細胞に結合して破壊するが、これは血中BLySの増加に結びつく上、組織中のCD20発現B細胞の破壊効果は弱い。したがって、これら異なる2つの機序を組み合わせることで相乗効果が得られる可能性がある。

 Mariette氏らは、活動性pSSを有する成人患者86例を4群〔①プラセボ、②ベリムマブ皮下注(200mg/週1回を52週)、③リツキシマブ静注(1,000mg、8週目と10週目)、④ベリムマブ・リツキシマブ併用(②③の併用、ただしベリムマブは24週目まで)〕にランダムに割り付け、52週間の治療後に16週間追跡した。主要評価項目は68週までの安全性とし、他に免疫学的評価と有効性評価を行った。

主なAEは鼻咽頭炎と関節炎、安全性に新規の懸念なし

 86例中60例(69.8%)が68週まで追跡可能だった。試験開始時の背景は4群で同等で、女性比率91.7~100%、白人比率83.3~92.3%、全例が中等~重度のpSSだった。

 有害事象(AE)および薬剤関連AEの発生率は、全群で同等だった。最も頻度が高かったAEは感染症(72.0~87.5%)だが、主に鼻咽頭炎で、重篤な感染症の発生はなかった。筋骨格障害(38.5~58.3%)も頻度が高かったが、主に関節炎で、pSS以外の新たな結合組織疾患の発生はなかった。治療との関連が否定できない重度AEは、併用群2例(感染性腸炎および腎盂腎炎)、ベリムマブ群1例(肺炎)、リツキシマブ群1例(好中球減少および発疹)だった。

 全体的には安全性に新たな懸念は認められなかった。

併用群で唾液腺のB細胞異常が改善し活動性スコアがより低下

 pSSでは唾液腺や涙腺が特異的に障害を受けるが、単剤群と比較して併用群では、小唾液腺のCD20陽性B細胞のほぼ完全な破壊と、末梢CD19陽性B細胞の大幅かつより持続的な破壊が確認された。併用群では、末梢B細胞の再構成が起こったが、リツキシマブ群と比較して遅延していた。

 EULARシェーグレン症候群疾患活動性尺度総スコアの試験前値と比べた68週時の低下幅(最小二乗平均±標準誤差)は、併用群が-5.7±0.96と最も大きく、以下、リツキシマブ群-4.4±0.99、ベリムマブ群-3.9±0.92、プラセボ群-1.8±1.40の順だった。

 Mariette氏らは「pSSにおけるベリムマブ+リツキシマブ併用の安全性プロファイルは、単剤療法と同等だった。ベリムマブとリツキシマブの併用療法は、単剤療法と比べ唾液腺B細胞の破壊を促進し、臨床転帰の改善につながる可能性がある」と結論している。

(小路浩史)

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