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透析患者の尿酸値上昇に新知見

腸管のABCG2の機能低下が関連

2023年01月18日 17:27

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イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 透析患者はさまざまな合併症を併発するリスクが高いが、高尿酸血症もその1つだ。通常、尿酸は腎臓から排泄されるため、腎機能低下者は尿酸値が高くなりやすい。東京薬科大学薬学部病態生理学教室教授の市田公美氏らは血液透析患者の遺伝子解析を行い、腸管に存在する尿酸トランスポーター遺伝子ABCG2の機能低下が血清尿酸値の上昇に関連していることをSci Rep 2023; 13: 93に報告した。

尿酸排泄における腸管の重要性は不明

 高尿酸血症は、尿酸の過剰産生や体外への排泄が低下することで引き起こされ、日本人成人男性の20~30%に認められる。健常人では1日に産生される尿酸の約3分の2が腎臓から、残りの3分の1は腸管から排泄される。そのため、腎機能が低下している透析患者では、高尿酸血症のリスクが上昇する。

 市田氏らはこれまで、腎臓や小腸に存在する尿酸トランスポーター遺伝子ABCG2が主に尿酸排泄を担っていること、ABCG2の変異が尿酸排泄の低下を引き起こし、痛風や高尿酸血症の原因になることを明らかにしている(Sci Transl Med 2009; 1: 5ra11Nat Commun 2012; 3: 764)。しかしながら、ヒトの腸管がどの程度、尿酸排泄を行うか評価した検討はなかった。

 そこで同氏らは今回、血液透析患者123例を対象にABCG2の分子機能を指標とした遺伝子解析を行った。

血液透析患者の5人に2人がABCG2変異を保有

 解析の結果、血液透析を行う末期腎不全患者の5人に2人はABCG2の機能を低下させる遺伝子変異を有すること、腸管のABCG2機能低下は血清尿酸値の上昇に関連することを見いだした。これらの結果から、腎機能を喪失し、尿酸排泄の大半を腸管で行っている人工透析患者にとって、ABCG2は注目すべき指標であることが示唆された。

 さらに、ABCG2の機能と血清尿酸値の関連について詳細に検討したところ、腸管のABCG2は1日に産出される尿酸の約6割まで排泄できることも分かった。

 今回の結果から、市田氏らは「腸管のABCG2による尿酸排泄の重要性が明らかになった。ABCG2の尿酸排泄機能を維持することで、高尿酸血症や痛風を効果的に治療できる可能性がある」と結論。今後について「ABCG2の機能低下を改善させる方法を見つけて尿酸の排出を抑制することで、さまざまな腎疾患の進行抑制にもつながるだろう」と展望している。

(編集部)

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