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妊婦の多剤併用、関連因子を検討

約600種・過去20年間の処方データ解析

2023年01月19日 17:35

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 過去数十年間、妊婦への処方薬剤数が増加している。そうした中、英・University of BirminghamのAnuradhaa Subramanian氏らは、同国で2000〜19年に妊婦に処方された約600種類の薬剤を対象に、妊娠中のポリファーマシー(多剤併用)と関連する因子を検討。結果をBMC Med2023; 21: 21)に報告した。

妊婦81万例超の処方データを解析

 多剤併用による健康リスクが指摘されているが、具体的な定義に関するコンセンサスは提示されていない、とSubramanian氏ら。そのため、特に妊娠期の女性における多剤併用のリスクは理解されていないとして、過去20年間のデータを用いて妊婦の多剤併用と関連する因子を検討した。

 英国のプライマリケア診療に関するデータベースPregnancy Register within Clinical Practice Research Datalink(CRPD) GOLDから、2000〜19年に登録された15〜49歳の妊婦81万2,354例(受胎前の平均年齢28.7歳、BMI 25.3)を抽出、解析した。

 処方薬は、英国民医薬品集(BNF)に基づき577種類を解析対象とし、2種類以上の処方を多剤併用と定義した。81万2,354例中13万9,471例(17.2%)が複数の併存疾患を有しており、全体における多剤併用の割合は妊娠初期で24.6%(95%CI 24.6〜24.6%)、全妊娠期間で49.8%(同49.7〜50.0%)だった。また、11種類以上が処方されていた割合は、全体で0.1%(同0.1〜0.1%)、複数の併存疾患を有する妊婦で0.7%(同0.7〜0.7%)だった。

 最も処方頻度が高かった薬剤は、全体では広域ペニシリン(6.6%)、非オピオイド系鎮痛薬(4.5%)、外陰腟カンジダ症治療薬(4.3%)、複数の併存疾患を有する妊婦では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(15.2%)、選択的β作動薬(11.3%)、広域ペニシリン(10.0%)だった。

若年・高齢出産や痩せ型・過体重・肥満などが多剤併用の関連因子に

 多剤併用の関連因子を検討した結果、年齢が30〜34歳との比較において15〜19歳〔調整後オッズ比(aOR)2.16、95%CI 2.12〜2.21〕および45〜49歳(同1.86、1.64〜2.10)で高く、有意なU字型の関連が示された。

 また、受胎前のBMIが痩せ型〔18.5未満(aOR 1.08、95%CI 1.05〜1.11)〕、過体重〔25〜29.9(同1.16、1.14〜1.18)〕、肥満〔30超(同1.55、1.53〜1.57)〕、喫煙(aOR 1.19、95%CI 1.18〜1.20)および喫煙歴あり(同1.05、1.03〜1.06)が有意な関連因子として抽出された。

 以上から、Subramanian氏らは「今回の検討により、とりわけ複数の併存疾患を持つ妊婦において、過去20年間にわたる多剤併用率の上昇が顕著であった。また、妊婦における多剤併用は、若年または高齢での妊娠、BMIにおける過体重または肥満、喫煙または喫煙歴などが関連因子であることが示唆された」と結論。「今後は、多剤併用による母子双方への影響を検討する適切な薬理疫学研究の実施が必要である」との見解を示している。

松浦庸夫

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