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クローン病寛解後もインフリキシマブ継続を

2023年01月23日 15:05

393名の医師が参考になったと回答 

イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 クローン病の治療では、インフリキシマブ(IFX)と免疫抑制薬(チオプリン系薬、メトトレキサート)の併用療法の有効性が示されているが、寛解達成後に同療法を継続することのリスク・ベネフィットの評価が求められている。ベルギー・University Hospital CHU of LiègeのEdouard Louis氏らは、IFX+免疫抑制薬併用療法で臨床的寛解を得たクローン病患者を対象に、治療継続、IFX離脱、免疫抑制薬離脱の3群を比較する非盲検ランダム化比較試験SPAREを実施。寛解後のクローン病患者で減薬を検討する際には、IFXの継続を優先すべきである可能性が示唆されたことをLancet Gastroenterol Hepatol2023年1月11日オンライン版)に報告した。

再発率の優越性と寛解期間の非劣性を3群で比較

 SPARE試験には欧州6カ国とオーストラリアの64施設が参加。対象は、18歳以上で少なくとも8カ月間のIFX+免疫抑制薬併用療法によりステロイド非使用での臨床的寛解が6カ月以上持続しているクローン病患者207例。併用療法を継続する群(継続群:67例、年齢中央値36歳、男性55%)、IFXを中止して同一用量の免疫抑制薬を継続する群(IFX離脱群:71例、同32歳、61%)、免疫抑制薬を中止して同一用量のIFXを継続する群(免疫抑制薬離脱群:69例、同31歳、55%)に1:1:1でランダムに割り付けた。

 主要評価項目は、再発率(優越性解析)および試験期間(104週)における寛解期間(非劣性解析、非劣性マージン35日)とした。

IFX中止により再発率が3.5〜4.8倍に

 全体で39例が再発し、内訳は継続群が8例(12%)、IFX離脱群が25例(35%)、免疫抑制薬離脱群は6例(9%)で、2年再発率はそれぞれ14%(95%CI 4〜23)、36%(同24〜47%)、10%(同2〜18%)だった。継続群に対するIFX離脱群の再発のハザード比(HR)は3.45(95%CI 1.56〜7.69、P=0.003)、免疫抑制薬離脱群に対するIFX離脱群のHRは4.76(同1.92〜11.11、P=0.0004)で、IFXの中止は再発リスク上昇と有意に関連していた。なお、免疫抑制薬の中止と再発リスク上昇に関連はなかった。

 また、再発後に再治療または治療の最適化が行われた28例中25例で再度の寛解が達成された。内訳は、継続群が2例中1例、IFX離脱群が23例中22例、免疫抑制薬離脱群が3例中2例だった。

 一方、2年間における平均寛解期間は、継続群が698日(95%CI 668〜727日)、IFX離脱群が684日(同651〜717日)、免疫抑制薬離脱群が706日(同682〜730日)と差はなかった。

 20例で31件の重篤な有害事象が認められたが、頻度に群間差はなかった。最も頻度が高いものは感染症〔継続群4例(6%)、IFX離脱群2例(3%)、免疫抑制薬離脱群1例(1%)〕およびクローン病の増悪〔同3例(4%)、4例(6%)、1例(1%)〕だった。死亡および悪性腫瘍の報告はなかった。

 これらの結果と先行研究の成績を踏まえ、Louis氏らは「ステロイド未使用でIFX+免疫抑制薬併用療法を受けているクローン病患者において、寛解達成後にIFXの中止を検討する際は、個々の患者における再発リスクと有効な再治療法の可能性を慎重に評価することが重要。減薬を検討する際にはIFXよりも免疫抑制薬の中止が好ましい戦略である可能性が示唆された」と結論している。

(菅野 守)

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