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国民総所得が入院小児の急性腎障害死と関連

2012年以降データのメタ解析

2023年01月24日 17:40

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イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 入院小児の急性腎障害(AKI)に関する疫学情報は十分でなく、特に低~中所得国データは限定的である。インド・All India Institute of Medical SciencesのJitendra Meena氏らは、2012年以降に発表された文献のシステチックレビューとメタ解析を実施。その結果、高所得国と低~中所得国で入院小児のAKI発生率は同等だったが、死亡率は低~中所得国で高かったとPediatrics2023年1月17日オンライン版)に報告。同氏らは、これらの国々において小児AKIに対する認識向上と、インフラおよび医療の整備が早急に必要だと指摘している。

94件・20万2,694児のデータを解析

 世界的なAKIの発生状況に関するメタ解析は過去にも実施されているが、KDIGO(Kidney Disease Improving Global Outcomes)が2012年にAKIの統一的国際基準を発表する前の文献を対象としており、定義が定まっていなかったことに加え、小児や低~中所得国におけるデータは限定的であった。

 そこでMeena氏らは、PubMed、EMBASE、Web of Sciencesに2012年3月~22年1月に発表された文献から、発表言語や地域に制限を設けず、①入院小児のAKIに関するコホート研究または横断研究で、②100例以上を登録しており、③KDIGOの2012年AKI国際診断基準によりAKIを定義している-ものを検索。26カ国における研究94件・20万2,694児のデータを抽出し、システマチックレビューおよびランダム効果モデルを用いたメタ解析を実施した。主要評価項目は入院小児におけるAKIの発生率、副次評価項目はAKI関連死などとした。国民総所得(GNI)に基づく国際連合と世界銀行の分類を用いて、低所得国、下位中所得国、上位中所得国、高所得国に分けた。

低所得国と下位中所得国の死亡率は高所得国の2.5~3倍

 AKI発生率は、85件・19万9,643児で検討されていた。全体の発生率は26%(95%CI 22~29%)で、重症度の報告があった55件・14万8,941児において、中等~重症AKIは14%(同11~16%)だった。

 所得別では、高所得国が27%(95%CI 23~32%)、上位中所得国が20%(同14~27%)、下位中所得国が25%(同13~38%)、低所得国が24%(同12~39%)で、有意差は認められなかった(P=0.5)。

 全体60件・16万1,877児におけるAKI関連死は11%(95%CI 9~13%)だった。死亡率は、低所得国(18%、95%CI 11~25%)と下位中所得国(22%、同9~38%)で突出しており、高所得国では7%(同4~9%)と有意に低かった(P<0.001)。

早期発見と透析医療への助成が優先課題

 Meena氏らは、AKIの発生率にGNIによる有意差がなかったにもかかわらず、低所得国と下位中所得国において死亡率が高い背景には、「AKIに対する認識の欠如や、受診・診断の遅れによる重症化、透析医療資源の不足が原因である可能性が高い」と指摘している。

 今回の結果を踏まえ、同氏らは「国際腎臓学会(SNI)が掲げる、2025年までに世界中の予防可能なAKIによる死亡を0にする"0by25イニシアチブ"の達成には、低所得国と下位中所得国において、早急なAKI予防と早期治療のためのインフラ整備および研究促進が必要である」と訴え、早期発見のための検査設備や、資源の少ない状況下で緊急透析・腹膜透析が行える設備の確立・維持への助成を優先課題として挙げている。

(小路浩史)

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