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末梢神経障害の血液バイオマーカーを同定

ニューロフィラメント軽鎖の測定が有用

2023年01月25日 17:34

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イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 英・University of OxfordのJoel Fundaun氏らは観察研究36件のシステマチックレビューおよびメタ解析を行い、末梢神経障害と血液バイオマーカーの変化との関連を検討。その結果、ニューロフィラメント軽鎖(NfL)が有用な指標となる可能性が示唆されたとJAMA Netw Open2022; 5: e2248593)に報告した。

中枢神経系での検討が多数

 末梢神経障害は痺れや知覚障害、運動障害、痛みを伴う状態を指す。神経損傷の診断および重症度判定、予後予測の臨床的指標としてのバイオマーカーの有用性に関するエビデンスは増えつつあるが、中枢神経系の障害に焦点が当てられることが多く、末梢神経系におけるバイオマーカーについては明らかでない。

 Fundaun氏らは、Ovid、MEDLINE、EMBASE、CINAHLのデータベースから、2021年9月23日までに発表された末梢神経障害患者と対照群(健康人または末梢神経障害非合併例または中枢神経障害例)で定量検査に基づき神経系に関連する血液バイオマーカーについて検討した観察研究を抽出。システマチックレビューおよびメタ解析を実施した。対象が18歳未満、中枢神経障害の合併例を含む、対照群のない研究などは除外した。

 メタ解析には、同等の方法を用いた研究が2件以上あるバイオマーカーのみを組み入れ、研究が2件のみの場合は固定効果モデルを用い、2件超の場合はランダム効果モデルを用いて解析した。評価項目はバイオマーカーの血中濃度とし、サイトカインやケモカインなど神経と直接関係のないバイオマーカーは除外した。

17件の研究でNfLが一貫して上昇

 システマティックレビューには研究36件(末梢神経障害患者2,301例、対照2,113例)を組み入れた。末梢神経障害の診断内訳は13種で、糖尿病性神経障害(13件)が最多、次いでシャルコー・マリー・トゥース病とギラン・バレー症候群(各6件)だった。

 神経疾患に関与する血液バイオマーカー16種を評価した。最も頻繁に検討されていたのはNfL(17件)。次いで、脳由来神経栄養因子(BDNF)、カルシウム結合蛋白質S100B、神経特異エノラーゼ(各3件)だった。

 末梢神経障害患者は、対照群と比べNfLの血中濃度が有意に高かった〔標準化平均差(SMD) 0.93、95%CI 0.82~1.05、P<0.001、I2=0%)。診断内訳ごとの解析でもNfL濃度は患者群で一貫して有意に高かった。

 NfL以外では、ニューロフィラメント重鎖、5型膜貫通型セリンプロテアーゼが患者群で有意に高く、神経成長因子が有意に低かったが、いずれも研究数が少なく明確な結論を導くことはできなかった。

 S100B(SMD 1.10、95%CI −3.08~5.28、P=0.38、I2=98%)、BDNF(同−0.52、−2.23~1.19、P=0.40、I2=95%)、神経特異的エノラーゼ(同−0.00、−1.99~1.98、P=0.10、I2=94%)の3種はいずれも、両群で有意差は認められなかった。

 Fundaun氏らは「今回のシステマチックレビューとメタ解析の結果から、末梢神経障害患者における神経損傷の血液バイオマーカーとして、NfL測定が有用な指標である可能性が示唆された」と結論している。

(小路浩史)

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