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6年制薬学部、3大学で4割超が退学

2022年度卒・文部科学省調査結果

2023年01月25日 17:37

498名の医師が参考になったと回答 

 文部科学省は1月23日、全国の6年制薬学部における2022年度の就学状況および退学率などに関する調査結果を公表した。2022年度卒業生(2016年度入学生)の退学率が4割を超える大学は3校(千葉科学大学、日本薬科大学、医療創生大学)に上ることが判明。また、第107回薬剤師国家試験(2022年2月実施)の6年制新卒の合格率(いわゆるストレート合格率)は85.2%(合格者数7,386人)だったが、4校で合格率が3割を下回り、うち1校(姫路獨協大)は14.5%であるなど薬学教育の質低下が浮き彫りになった。

私立大は6校で退学率3割超え

 今回の調査対象は、薬学部を設置している国立大学14校、公立大学5校、私立大60校を合わせた計79校。

 文科省は、これまで6年制薬学部における修学状況などの調査を行ってきたが、退学率に関する調査は前年度(2021年度)に初めて公表され、今回で2回目となる。

 調査結果によると、退学者がいなかった(退学率0%)のは、東北大学、東京大学、金沢大学、京都大学、大阪大学、徳島大学、静岡県立大学の7校で、いずれも国公立大学だった。私立大学では福岡大学が3.4%と最も低く、星薬科大学(3.5%)、安田女子大学(3.9%)が続いた。

 逆に、退学率が最も高かったのは千葉科学大学(42.2%)で、日本薬科大学(40.7%)、医療創生大学(40.5%)の3校が4割を超え、北陸大学(36.5%)、青森大学(33.9%)、九州保健福祉大学(32.3%)が続いた。いずれも私立大学であった。

薬学部増設ラッシュの影響で、定員割れの私大が増加

 今回(2022年度)の調査結果で示された高い退学率とともに問題視されているのが、定員割れの大学が増加傾向にあることだ。その背景として、2006年度に開始した薬学部6年制課程導入とほぼ同時期に始まった薬学部・薬科大学の新設ラッシュを指摘する声もある。文科省によると、6年制課程の薬学部は制度化前後の2003年度から2008年度にかけて28学部誕生したことで、入学定員が大幅に増加。少子化による志願者の減少、将来的な薬剤師の供給過剰なども相まって、私立大学では入学者の確保が厳しい状況にあり、入学定員充足率が80%以下となる割合は約3割に達している状況だ。

 こうした状況に対応するため、文科省は昨年(2022年)7月に開催した「薬学部教育の質保証専門小委員会」において、6年制薬学部の新設や定員増を原則認めないという方針を盛り込んだ「とりまとめ案」をおおむね了承。対策として、定員割れの大学に対し、私学助成の減額率の引き上げや不交付の厳格化などにより、入学定員の適正化を図る方針を示している。

(小沼紀子)

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