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フルボキサミン、コロナ期間を短縮せず

軽~中等度の症候性患者

2023年01月27日 16:34

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行初期の研究では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)フルボキサミンの投与により臨床転帰が改善する可能性が示唆されていたが、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン接種が普及する中、結果の慎重な解釈や再検討が求められている。米・Weill Cornell MedicineのMatthew W. McCarthy氏らは、過半数がワクチン2回以上接種済みの軽症~中等症COVID-19外来患者を対象にフルボキサミンの有効性を検討するプラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)を実施。10日間の低用量フルボキサミン投与で回復期間は短縮しなかったことをJAMA2023; 329: 296-305)に報告した。(関連記事「SSRIがコロナ重症化を抑制か」、「既存3製剤、コロナの重症化予防効果認めず」)

既存薬転用研究の一環で約1,300例をランダム化

 フルボキサミンは、社会不安障害やうつ病などさまざまな精神疾患の治療に使用されている。同薬はσ1受容体刺激を介して炎症を緩和する可能性があり、COVID-19流行初期において臨床転帰の改善効果が検討されていた。

 今回の研究は、COVID-19に対する既存薬の転用(drug repurposing)の可能性を検討するAccelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines(ACTIV)-6試験の一環として実施された。2021年8月6日~22年5月27日に米国の91施設で、①30歳以上、②SARS-CoV-2感染確認から10日以内、③2つ以上のCOVID-19急性期症状の発現から7日以内―の軽症~中等症患者1,331例〔年齢中央値47歳、(四分位範囲;IQR 38~57歳)、女性57%〕を登録。フルボキサミン群(50mg 1日2回)とプラセボ群にランダムに1:1で割り付け、10日間治療した。

 主要評価項目は、症状が回復するまでの期間(3日連続で無症状の場合の3日目までの期間と定義)とし、ベイズ比例ハザードモデルを用いて検討。副次評価項目は、28日目までの入院、急患診療所(Urgent Care)受診、救急診療部(ED)受診、死亡の複合評価などとし、ベイズ回帰モデルで検討した。

いずれの評価項目も有意差なし

 1,288例(フルボキサミン群674例、プラセボ群614例)が試験を完遂した。SARS-CoV-2ワクチン接種状況は、フルボキサミン群では未接種が31.2%、1回が0.9%、2回以上が67.9%、プラセボ群ではそれぞれ32.0%、1.2%、66.9%だった。

 症状回復までの期間中央値は、フルボキサミン群が12日(IQR 11~14日)、プラセボ群が13日(同12~13日)で、両群に有意差は認められなかった〔ハザード比(HR)0.96、95% 確信区間(CrI)0.86~1.06、有効性(HR>1)の事後確率P=0.21〕。

 副次評価項目の基準を満たしたのは、フルボキサミン群26例(3.9%)、対照群23例(3.8%)で、同様に有意差は認められなかった(HR 1.1、95%CrI 0.5~1.8、有効性(HR<1)の事後確率P=0.35)。

 入院はフルボキサミン群1例とプラセボ群2例で、死亡は両群ともなかった。有害事象は両群ともにまれだった。

 以上から、McCarthy氏らは「軽症~中等症のCOVID-19外来患者において、フルボキサミン50mgを1日2回、10日間投与しても、プラセボと比較して持続的な回復までの期間短縮には至らなかった。軽症~中等症のCOVID-19患者への同用量および同期間でのフルボキサミン投与は支持されない」と結論している。

(小路浩史)

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