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利尿薬誘発性低Na血症、女性で入院リスク増

2023年01月31日 05:05

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 オランダ・Erasmus University Medical Center RotterdamのLinda C. Hendriksen氏らは、同国の電子医療データベースを用いて利尿薬使用者における低ナトリウム(Na)血症関連の入院リスクを男女で直接比較。その結果、女性は利尿薬使用と低Na血症関連入院リスクに有意な関連が見られ、年齢、併用薬、慢性疾患を調整後はより関連が強まったとPharmacoepidemiol Drug Saf2023年1月12日オンライン版)に発表した。

未調整の絶対リスクは女性0.24% vs. 男性0.09%

 薬剤誘発性低Na血症の主な原因薬として利尿薬が挙げられる。中でも、サイアザイド系利尿薬は低Na血症を生じやすいとされる。最近の研究で、女性は男性に比べて入院に至る利尿薬誘発性の低Na血症を発症しやすいことが示されている。そこでHendriksen氏らは、利尿薬使用下での低Na血症関連入院リスクの男女差が年齢などの交絡因子を調整後も維持されるかどうかを検討した。

 まず、オランダの全人口1,700万人の23.5%に相当する400万人超が登録された電子医療データベースPHARMO Data Networkから、2005~17年に利尿薬を処方された女性52万4,683例と男性36万2.252例を特定。このうち、同期間中に低Na血症による初回入院となったのは、女性が1,257例、男性が332例で、低Na血症関連入院の未調整の絶対リスクは女性0.24%、男性0.09%だった(絶対リスク差0.15%)。

 低Na血症関連入院1例に対し低Na血症関連入院のない利尿薬使用者10例をランダムにマッチングし、データ欠測例などを除外した女性1万639例、男性5,223例を対照群に選出して利尿薬使用下での低Na血症関連入院リスクを解析した。

交絡因子調整後のオッズ比は女性2.65

 その結果、女性では利尿薬使用と低Na血症関連入院リスクに有意な関連が示された〔未調整オッズ比(OR)1.86、95%CI 1.64~2.11〕。

 女性における有意なリスク上昇は年齢、利尿薬の併用数、利尿薬以外の低Na血症を誘発しうる薬剤の併用数、慢性疾患スコアを調整後も維持された(調整後OR 2.65、95%CI 2.31~3.04)。

 さらに、利尿薬の種類別のサブグループ解析でも女性における低Na血症関連入院リスクの有意な上昇との関連がが見られた。前述の交絡因子に加えて利尿薬の用量および使用日数を調整後の女性における低Na血症関連入院のORは、サイアザイド系利尿薬で3.06(95%CI 2.51~3.73)、ループ利尿薬で2.30(同1.86~2.83)、アルドステロン拮抗薬で2.45(同1.81~3.32)だった。

 以上を踏まえ、Hendriksen氏らは「女性は利尿薬使用下での低Na血症関連入院のリスクが高く、年齢、併用薬、慢性疾患などの交絡因子を調整後も一貫して関連が認められた」と結論。「男女別の治療を行えるよう、今後の研究でこの性差のメカニズムを解明する必要がある」と付言している。

(太田敦子)

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