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先延ばし傾向がある人は健康転帰悪化

スウェーデンの学生約3,500人を解析

2023年02月01日 17:04

402名の医師が参考になったと回答 

イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 やるべきことを先延ばしにする傾向がある人では、抑うつや不安などの精神的健康状態の悪化や上肢の痛み、睡眠の質の低下や身体不活動といった不健康な生活習慣行動など、幅広い健康転帰の悪化リスクが高い可能性にあることを、スウェーデン・Sophiahemmet UniversityのFred Johansson氏らがJAMA Netw Open(2023; 6: e2249346)に報告した。

大学生の半数以上に見られるとの報告も

 やるべきことを先延ばしにする行動は多くの人々に見られるが、特に若年者で多く、大学生の半数以上が試験勉強や課題などを先延ばしにしがちであるとの報告もある。先延ばし行動は自己制御ができないことの表れとされており、抑うつや不安、ストレス、孤独、生活満足度の低下に加え、身体的な健康問題、心血管疾患、不健康な生活習慣行動に関連することが先行研究で示唆されている。しかし、これらの関連について検討した長期研究のエビデンスは少ない。

 Johansson氏らは今回、スウェーデン国内の大学8校の学生を対象に2019年8月~21年12月に実施されたSustainable University Life studyの参加者のうち、ベースライン時の調査に回答した3,525例を抽出。先延ばし行動と精神的健康、疼痛など16項目の健康転帰との関連について検討した。9カ月後の追跡終了時に行った調査の回答率は73%(2,587例)だった。先延ばしの程度は、スウェーデン版Pure Procrastination Scale(PPS)に含まれる5項目(各1~5点)のスコアの合計点(5~25点)に基づき評価した。

先延ばしスコア1SD上昇ごとにリスク上昇

 ベースライン時の先延ばしスコアは平均12.9点〔標準偏差(SD)5.4〕であった。交絡因子を調整して解析した結果、先延ばしスコアが1SD上昇するごとに、9カ月後における抑うつ、不安、ストレスの程度が増大していた(抑うつ:β=0.13、95%CI 0.09~0.17、不安:β=0.08、同0.04~0.12、ストレス:β=0.11、同0.08~0.15)。また、先延ばしスコアが1SD上昇するごとに日常生活に支障を来すレベルの上肢の痛み〔リスク比(RR)1.27、95%CI 1.14~1.42〕、睡眠の質の低下(同1.09、1.05~1.14)、身体不活動(同1.07、1.04~1.11)、孤独(同1.07、1.02~1.12)、経済的困難(同1.15、1.02~1.30)のリスク上昇が認められた。

 以上を踏まえ、Johansson氏らは「スウェーデンの大学生が対象の前向きコホート研究において、先延ばしの傾向が強いことは、その後の精神的健康状態の悪化(抑うつ、不安、ストレス)や日常生活の支障となる上肢の痛み、不健康な生活習慣行動(睡眠の質の低下、身体不活動)、心理社会的健康因子の悪化(孤独、経済的困難)に関連していた」と結論。その上で、「大学生では先延ばし行動は高頻度に見られることを考慮すると、この研究結果は学生の健康状態について理解を深める上で重要な可能性がある」と付言している。

(岬りり子)

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