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SNS利用が小児の脳発達に影響か

米研究で示唆

2023年02月02日 05:05

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 10歳代前半にソーシャルメディア(SNS)を頻繁にチェックする習慣があると、脳の発達に影響が及ぶ可能性を示唆する長期前向きコホート研究の結果が明らかになった。研究を実施した米・University of North Carolina at Chapel HillのMaria T. Maza氏らは、SNSをチェックする頻度が高い小児はそのような習慣がない小児と比べ、社会的報酬や罰に対する脳の反応が異なることをJAMA Pediatr(2023年1月3日オンライン版)報告した。

13~17歳の約8割が1時間に1回以上スマホチェック

 SNSはいつでも好きなときに情報へのアクセスができるだけでなく、「いいね」やリツイートのように他者からの肯定的なフィードバックが得られたり、注目されたりするなど社会的報酬を得る場にもなる。そのため、自分の投稿に対する通知やメッセージ受信の通知が来るたびにSNSをチェックする人は少なくない。特に青少年はSNSの利用頻度が最も高く、13~17歳の78%が1時間に1回以上スマートフォンなどのデバイスをチェックする習慣があるとの報告もある。一方で、この世代は他者からの社会的フィードバックに対する脳の感受性が高く、脳の発達において重要な時期でもある。

 Maza氏らは今回、米・ノースカロライナ州の中学校に通う6~7年生169人(平均年齢12.89歳、範囲11.93~14.52歳、女児91人)を対象に、SNSの利用頻度と脳発達の長期的な変化の関連について検討する3年間の前向きコホート研究を実施した。

 対象には、研究開始時に3つのSNS(Facebook、Instagram、Snapchat)について、1日当たりの利用頻度を尋ねた。研究期間中は年に1回、他者からの社会的フィードバック(報酬、罰、中立)を得た際の脳活動を測定するため、機能的MRI(fMRI)を用いてsocial incentive delay task実行中の脳画像検査を実施した。

頻回利用で脳の活動性が亢進

 検討の結果、SNSを頻繁(1日15回以上)にチェックする習慣のある小児は追跡期間中、モチベーションに関わる腹側線条体、情動に関わる島皮質、扁桃体、認知コントロールに関わる背外側前頭前野(DLPFC)の活動性が徐々に亢進し、社会的フィードバックに対する感受性の向上が示唆された。一方、習慣がない小児ではこれらの領域の活動性は徐々に低下していた。

 以上から、Maza氏らは「小児期の頻回なSNSチェック行動は、社会的報酬および社会的罰に対する脳の感受性に影響を及ぼす可能性がある。少年期の発達に対する普遍的な影響を解明するため、SNSの使用と青年期における脳の発達や心理的適応との長期的な関連について、さらなる研究が必要である」と考察している。

岬りり子

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