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BCGが1型糖尿病の予防に寄与

2023年02月02日 17:42

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イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 米・Massachusetts General Hospital(MGH)/Harvard Medical SchoolのHans F. Dias氏らは、米国の大規模患者データセットなどを解析した結果、BCGが1型糖尿病の発症予防に関与している可能性が確認されたとPLoS One2023; 18: e0276423)に発表した。1型糖尿病を合併する膀胱がん患者では、複数回のBCG膀胱内注入療法によりHbA1cが複数年にわたり低下。また、新生児BCGワクチン接種を義務付けている国では、そうでない国と比べて1型糖尿病の発症率が低かった。

膀胱がんのBCG療法でHbA1c低下

 Dias氏らはまず、米国のMassachusetts General Brigham(MGB)医療ネットワーク、医療情報を提供するManagement Science Associates(MSA)社およびOptum Labs(OL)社のデータベースを検索し、膀胱がんに対するBCG膀胱内注入療法を受けた1型糖尿病患者19例と2型糖尿病患者106例を特定した。

 これらの患者データを解析した結果、1型糖尿病の合併例ではBCG膀胱内注入療法の実施前と比べて実施後にHbA1cが低下。MSAデータでは治療後1年で10%低下し3年後まで持続、MGBデータでは治療後6年間で10%漸減、OLデータでは治療後3年間で10%漸減していた。全体では、治療後1年で有意なHbA1c低下が認められた(P=0.0304)。

 一方、2型糖尿病の合併例では同様のHbA1c低下は認められなかった。

新生児BCGワクチン義務化の国で1型糖尿病の発症率低下

 次に、新生児BCGワクチン接種の義務化と糖尿病発症率との関連を国ごとに検討した。糖尿病発症率は国際糖尿病学会(IDF)およびGlobal Health Data Exchange(GHDx)のデータベースから、BCGワクチン接種状況についてはBCG World Atlasのウェブサイトなどからデータを収集した。

 解析の結果、新生児BCGワクチン接種を義務付けている国では、そうでない国と比べて1型糖尿病の発症率が平均で47%有意に低かった(P<0.0001)。

 2型糖尿病に関しては、IDFデータでは新生児BCGワクチン接種の義務化による有意な発症率低下が認められなかったが(P=0.0715)、GHDxデータでは平均28%の有意な低下が認められた(P<0.0001)。

 以上の結果から、Dias氏らは「BCGが1型糖尿病の発症予防に寄与する可能性が示唆された」と結論。「ただし、2型糖尿病の予防効果を裏付けるものではない」と述べ、「2型糖尿病を合併する膀胱がん患者でHbA1c低下効果が見られなかったのは、糖尿病治療薬メトホルミンの同時投与が一因の可能性がある。メトホルミンは解糖経路に対するBCGの有益な作用を阻害する」と説明している。

 一方、同氏らは「BCGワクチンは出生時に接種するため、メトホルミン同時投与は行われない」とも指摘しており、新生児BCGワクチン接種の義務化による糖尿病発症率の低下については留意する必要があるとしている。

太田敦子

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