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VEXAS症候群、推定有病率と臨床症状

2020年に提唱の自己炎症性疾患

2023年02月02日 17:39

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イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 VEXAS(vacuoles, E1-ubiquitin-activating enzyme, X-linked, autoinflammatory, somatic)症候群は、体細胞のUBA1遺伝子の病的バリアントを原因とする新たな炎症性自己免疫疾患である(関連記事:「新たな自己炎症性疾患『VEXAS症候群』」)。同症候群の罹患率、浸透率、臨床的特徴に関する知識は、既知の表現型に基づく診断バイアスのためにこれまで限定的であった。米・New York University Grossman School of MedicineのDavid B. Beck氏らは、電子健康記録データを用いてVEXAS症候群の推定有病率と臨床症状を遺伝学的診断手法により後ろ向きに検討。結果をJAMA2023; 329: 318-324)に報告した。

約16万人のエクソームを解析

 UBA1遺伝子の病的バリアントはさまざまな病態と関連している。VEXAS症候群ではリウマチ性疾患や血液疾患、肺疾患の合併頻度が高く、結節性多発動脈炎、再発性多発動脈炎、巨大細胞性動脈炎、Sweet症候群、骨髄異形成症候群(MDS)などが報告されている。

 Beck氏らは、米・ペンシルベニア州の医療システムであるGeisinger社の電子健康記録から、対象を限定せず1996年~2022年に登録された16万3,096人のデータを抽出。エクソーム解析から得られたUBA1遺伝子のバリアントと関連する臨床症状を検討した。

 評価項目は、①VEXAS症候群の有病率、②VEXAS症候群患者におけるリウマチ性、血液、肺、皮膚などの疾患所見の確認、③臨床検査データの評価、④骨髄生検による病因解析、⑤in vitroの酵素活性分析-とした。

診断基準に合致したのは約半数

 平均年齢は52.8歳で、白人が94%で女性が61%だった。11例(男性9例、女性2例)で疾患との関連が既に確認されているUBA1遺伝子に体細胞バリアントの可能性が認められ、全例がVEXAS症候群と一致する臨床像を呈した。7例が関節炎を有し、4例に乾癬、リウマチ性多発筋痛症、皮膚筋炎、サルコイドーシスを含むリウマチ性疾患が認められた。

 11例中5例はVEXAS症候群と関連付けられるリウマチ性疾患や血液学的疾患の診断基準を満たしていなかったが、全例で貧血(ヘモグロビンの平均値7.8g/dL、中央値7.5g/dL)が認められ、うち10例が大球性貧血で血小板減少症を併発していた。

 男性の1例はVEXAS症候群に関連する徴候/症状の発現前から病的バリアントを保有しており、女性の2例はヘテロ接合バリアントを伴っていた。さらに、症候性患者1例からは未報告のUBA1遺伝子バリアント(c.1861A>T; p.Ser621Cys)が得られ、酵素活性分析により触媒作用の欠損および病原性が認められた。

50歳以上の男性では4,300人に1人

 全体における病原性UBA1遺伝子の病的バリアントの推定保有率は、血縁関係がない1万3,591人に1人(95%CI 7,775~2万3,758人)、50歳以上の男性4,269人に1人(同2,319~7,859人)、50歳以上の女性2万6,238人に1人(同7,196~14万7,669人)と算出された。

 Beck氏らは「VEXAS症候群の推定有病率および臨床症状に関する知見が得られた。ただし、米国の一地域の医療システムを用いた検討であり、一般集団における同バリアントの保有率と臨床症状を正しく定義するには、遺伝的に多様な集団が対象の研究が必要」と結論している。

(小路浩史)

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