染色体運動ががんの治療標的に
モーター蛋白質CENP-Eを阻害
2023年02月03日 15:39
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ヒトの細胞は通常、父母の染色体を1組ずつ引き継いだ2倍体の状態でゲノムDNA量と遺伝情報を保ちながら増殖する。近年のがんゲノム解析から、多くのがん組織では細胞分裂異常によりゲノムDNA量が増大する染色体倍加が発生し、がんの病態形成に関与することが明らかになってきている。そのため、染色体倍加を生じた細胞の増殖を選択的に抑制することで副作用が少ないがん治療の実現が期待されている。北海道大学大学院生命科学院の吉澤晃弥氏らは、染色体運動をつかさどるモーター蛋白質CENP-Eの阻害によりDNA量が増大した異常細胞の増殖を高い選択性を持って抑制できることを発見。新たながん治療法の開発につながる可能性があるとMol Oncol(2023年1月23日オンライン版)に発表した。