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とろみ付き炭酸飲料が嚥下を改善

2023年02月06日 13:45

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イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 東京医科歯科大学大学院摂食嚥下リハビリテーション学分野の齋木章乃氏らは、嚥下障害を有する高齢者を対象に、炭酸を含有するとろみ付きコーラ摂取時と、炭酸のないとろみ付きコーラ摂取時の嚥下動態を比較。炭酸を含有するとろみ付きコーラ摂取時に咽頭残留が減少し、嚥下反射がより早期に惹起され、嚥下機能改善効果が期待できることが示されたと、Sci Rep2022; 12: 22151)に発表した。

誤嚥・喉頭侵入、咽頭残留、嚥下反射惹起部位を比較

 加齢や疾患により嚥下機能が低下する嚥下障害。水分など粘度の低いものは、摂取時に一気に咽頭に流入するため、嚥下反射とのタイミングが合わず誤嚥が生じやすい。誤嚥の予防には、水分にとろみを付与し粘度を増すのが一般的だ。

 炭酸飲料には嚥下機能の改善効果がある。近年、水分に比べ少量で嚥下反射が惹起されること、炭酸飲料摂取時に嚥下反射惹起時間が短縮することなどが報告されている。炭酸飲料の発泡性が咽頭粘膜を刺激することで、嚥下運動を促進するためとされる。

 これまでにも、とろみ付き炭酸飲料の嚥下機能改善効果を検証した研究は行われていたものの、とろみ付き炭酸飲料中の炭酸の効果を検証した報告はない。

 そこで齋木氏らは、とろみ付き炭酸飲料中の炭酸が嚥下に及ぼす影響を検討するため、嚥下障害を有する38例〔男性19例、年齢中央値80歳、四分位範囲(IQR)74~85歳〕を対象に、炭酸含有とろみ付きコーラと炭酸を抜いたとろみ付きコーラ摂取時で嚥下動態を比較した。

 対象を先に炭酸含有とろみ付きコーラ、後に炭酸なしとろみ付きコーラを摂取する群と、先に炭酸なしとろみ付きコーラ、後に炭酸含有とろみ付きコーラを摂取する群にランダムに割り付けた。5ccを3口ずつ摂取してもらい、嚥下内視鏡検査(VE)で嚥下動態を評価した。

 VE画像から、誤嚥・喉頭侵入を8段階、咽頭残留を5段階で評価。嚥下反射惹起部位は、画像上で嚥下反射が惹起される直前の食塊先端の位置を確認し、5段階(数字が大きいほど嚥下反射が遅い)で評価した。

 嚥下障害の原疾患は、器質的疾患が23.7%、脳血管疾患21.1%、神経疾患21.1%、認知症が15.8%、その他が18.4%だった。炭酸含有とろみ付きコーラは、冷却したペットボトル入りコーラにとろみ剤を添加後すぐに振り、とろみ剤を混和してから一晩冷蔵庫に入れて作製した。炭酸を抜いたコーラにも同じ濃度のとろみを付与し、対照とした。

咽頭残留と嚥下反射の惹起に有意差

 検討の結果、炭酸なしとろみ付きコーラと比べ炭酸含有とろみ付きコーラでは、咽頭残留が喉頭蓋谷〔咽頭残留中央値2(IQR 2~3) vs. 2(同1~2.75)、P=0.007〕、梨状窩〔同2(IQR 2~3) vs. 2(同1~2)、P=0.004〕のいずれでも有意に少なかった。また、嚥下反射がより早期に生じた〔嚥下反射惹起部位中央値3.5(IQR 3~5)vs. 3(同2~4.75)、P=0.007〕。

 一方、誤嚥・喉頭侵入は、炭酸含有とろみ付きコーラと炭酸なしとろみ付きコーラで有意な差は認められなかった〔誤嚥・喉頭侵入中央値1(IQR 1~2)vs. 1(同1~2)、P=0.271〕。

 以上から、齋木氏は「とろみ付き炭酸飲料中の炭酸には嚥下機能改善効果があることが示された」と結論。「とろみ付き炭酸飲料は、水分で誤嚥する嚥下障害を有する患者の嚥下訓練に有効な可能性がある。臨床では炭酸水を用いた嚥下訓練が行われているが、今後はとろみ付き炭酸飲料を用いた嚥下訓練の効果を検証したい」と展望している。

(比企野綾子)

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