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好きな曲 VS. 嫌いな曲、疼痛緩和効果は

2023年02月07日 17:41

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 音楽を聴くことによる疼痛への緩和効果が報告されている。オランダ・Radboud University Medical CenterのHans Timmerman氏らは、好きな曲と嫌いな曲による疼痛緩和効果を検討する観察研究を実施、結果をPLoS One2023; 18: e0280036)に報告した。

健康な415人に電気刺激または圧痛を与え、曲の好き嫌いで疼痛評価

 疼痛治療に対して、副作用を伴う薬物介入とは異なり、音楽による介入は急性期および慢性期の双方に有効性が示されているだけでなく(J Music Ther 2016; 53: 430-477)、コスト面でも優れている、とTimmerman氏ら。しかし、音楽による疼痛緩和効果のメカニズムは明らかでないことから、同氏らは音楽による疼痛緩和効果は好みの曲を聴くと痛みの閾値が上がり、好みでない曲を聴くと閾値が下がると仮定し、検討を行った。

 対象は、2016年にオランダで3日間開催された音楽祭Lowlandsの参加者から募った18歳以上の健康な無償ボランティア415人(平均年齢28.2歳、男性44.6%)。過去12時間以内の鎮痛薬使用者や抗うつ薬使用者に加え、腕、首、肩に疼痛があったり、腕や手を受傷していたりする人などは除外した。

 対象に音楽ストリーミングサービスから各自が選んだ好きな曲と嫌いな曲をイヤホンで聴いてもらった。その上で、非利き腕に対する①電気刺激による疼痛耐性閾値(Electrical Pain Tolerance Threshold ;EPTT)を評価する群138人、②圧痛閾値(Pressure Pain Threshold ;PPT)を評価する群277人で、無音状態、好きな曲を聴いた状態、嫌いな曲を聴いた状態でそれぞれの痛みの限界(EPTT:出力電流で最大50mA、PPT:圧力の負荷が最大220N/cm2)を検証。加えて、各群の実験直後に11段階(「0(無痛)」〜「10(想像できる最大の痛み」)の疼痛評価スケール(Numerical Rating Scale;NRS)による評価も行った。

好きな曲で疼痛緩和、嫌いな曲より先に聴くとより効果

 EPTT群における疼痛閾値は、無音状態が平均21.5mA、好きな曲を聴いているときが平均23.8mA、嫌いな曲を聴いているときが平均21.5mAと、無音状態に比べ好きな曲を聴いているときでは疼痛閾値が高かった。曲の順番を入れ替えても同様だった(無音状態:平均25.3mA、嫌いな曲:平均23.8mA、好きな曲:平均28.8mA)。NRSによる評価も同様の結果が示された。

 PPT群でも検討したところ、疼痛閾値は無音状態が平均66.4N/cm2だったのに対し、好きな曲で71.0N/cm2,、嫌いな曲で60.7N/cm2と、疼痛閾値は好きな曲で高く、嫌いな曲で低かった。曲の順番を入れ替えても同様だった。ただし、NRSは好きな曲を先に聴いたときでは変化は見られなかった(いずれも平均3.6)。

 好きな曲と嫌いな曲で比較した疼痛緩和効果(β)を求めたところ、EPTT群でもPPT群でも疼痛閾値およびNRSスコアは好きな曲を聴いたときの方が有意な緩和効果が示された〔P値(EPTT群:疼痛閾値<0.001、NRS<0.001、PPT群:<0.001、NRS=0.003)〕。

 以上から、Timmerman氏らは「疼痛に対し、嫌いな曲に比べ好きな曲を聴いているときの方が疼痛閾値は高まり、疼痛評価は低くなることが示唆された。さらに、嫌いな曲より先に好きな曲を聴く方が疼痛緩和効果は大きいことも明らかになった」と結論。「疼痛を有していたり、苦痛を伴う治療を受けたりする患者においては、好みの曲を聴くことでベネフィットとなる可能性が高いだろう」との見解を示している。

松浦庸夫

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