メニューを開く 検索

トップ »  医療ニュース »  2023年 »  小児 »  乳幼児突然死、家族歴でリスク4倍

乳幼児突然死、家族歴でリスク4倍

デンマーク・出生児260万人超のコホート研究

2023年02月08日 16:22

356名の医師が参考になったと回答 

イメージ画像 「© Adobe Stock ※画像はイメージです」

 日本では、2021年に乳幼児突然死症候群(SIDS)で亡くなった乳幼児は81例に上り、乳幼児の死亡原因の第3位である(厚生労働省「報道発表資料」)。デンマーク・Copenhagen University HospitalのCharlotte Glinge氏らは、同国で1978~2016年に出生した260万人超を対象にコホート研究を実施し、SIDSの家族歴と発症リスクの関連を検討。SIDSで死亡した児の同胞では、一般集団に比べてSIDSリスクが4倍との結果をJAMA Netw Open2023; 6: e2252724)に発表した(関連記事「乳幼児突然死は兄弟姉妹で高リスク 」、「仰向け寝支援システムで乳幼児突然死予防 」)。

任意抽出集団で家族歴との関連を検討

 SIDSは1歳未満の乳幼児における自然死の主な原因だが、突然死を起こすメカニズムは不明で、予防が依然課題となっている。小規模または選抜集団でSIDSの家族歴の関与が報告されているが、SIDSで死亡した子供の家族における類似性や特徴を証明するには、家族歴に関する情報を含む任意抽出した児の集団での全国調査が必要になる。そこで今回の研究では、デンマークの行政および健康登録システムを用いて、SIDSで死亡した児の同胞が、一般集団に比べてSIDSリスクが高いかどうかを検討した。

 Glinge氏らは、同国の住民登録システムから1978年1月~2016年12月に出生した268万3,549人のデータを抽出。養子や移民を除いた266万6,834人から、死因登録システムを用いてSIDSで亡くなった1歳未満の1,540人を特定した。このうち同胞の死因が分かる症例を特定し、同じ母親から出生し最初にSIDSで死亡した1,465人を初発例、初発例の同胞2,384人を同胞群とした。

 中央値で1年〔四分位範囲(IQR)1~1年〕追跡した結果、SIDSの大半は生後6カ月以内に発症し、初発例の死亡時年齢の中央値は3カ月(同2~4カ月)で、男児が888例(61%)を占めていた。データ解析は、2017年1月~22年10月に行った。

うつ伏せ寝回避推奨後もリスク上昇

 解析の結果、同胞群では8人(男児50%)が、年齢中央値2.5カ月時(IQR 1.4~4.1カ月)にSIDSで死亡し、一般集団(266万6,834人中1,540人)と比べてSIDSリスクが有意に高かった。ポアソン回帰モデルで性、年齢、暦年を調整したSIDSの標準化罹患比(SIR)は4.27 (95%CI 2.13~8.53)、これらに加えて母親の年齢(29歳未満 vs. 29歳以上)および学歴(高校卒 vs. それ以上)を調整後で3.50(95%CI 1.75~7.01)だった。

 1990年代初頭に、SIDSの主要な危険因子としてうつ伏せ寝が同定された。仰臥位または横向きで寝かせることが推奨された1992年以降のSIDSに関する感度分析でも、同胞群(1,286人、SIDS 4人)でSIDSリスクは有意に高かった。2002~16年のSIDSによる死亡(初発例92人と同胞群122人)を解析した結果、SIRは性、年齢、暦年を調整後で3.94(95%CI 2.55~5.32)、さらに母親の年齢および学歴を調整後で4.17 (同2.21~6.13)と算出された。

家族集積性に遺伝/環境要因の関与

 以上の結果から、Glinge氏らは「人口に基づく大規模研究でSIDSによる死亡の家族集積性が示された。SIDSで亡くなった同胞がいることは、一般集団に比べてSIDSのリスクが4倍であることに関連していた。共通する遺伝的/環境要因がSIDSのクラスタリングに寄与する可能性がある」と結論。その上で「SIDSの病因は複雑であることが、今回確認された家族集積性や種々の遺伝経路の関与を示す多くの研究によって裏付けられている」と指摘。これらの研究に基づいて、米国不整脈学会(HRS)、欧州不整脈学会 (EHRA)、 アジア太平洋不整脈学会(APHRS)は、潜在的な遺伝性心疾患を明らかにするために分子剖検および陽性の場合の家族調査を推奨している。

 また、臨床対応について、「保護者が公衆衛生ガイドラインに従うこと、および臨床医がSIDSリスクを評価し、予防的介入を実施する際にSIDSの家族歴を考慮することを勧める」と付言している。

(坂田真子)

無料でいますぐ会員登録を行う

【医師限定】

初回登録で500円分のポイントをもれなく進呈!

(5月末迄/過去ご登録のある方を除く)

  • ・ ご利用無料、14.5万人の医師が利用
  • ・ 医学・医療の最新ニュースを毎日お届け
  • ・ ギフト券に交換可能なポイントプログラム
  • ・ 独自の特集・連載、学会レポートなど充実のコンテンツ

ワンクリックアンケート

円安水準を更新。円安で何を思う?

トップ »  医療ニュース »  2023年 »  小児 »  乳幼児突然死、家族歴でリスク4倍