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ケロイド患者で注意すべき疾患は?

英・23万例超の人口ベース横断研究

2023年02月15日 17:24

430名の医師が参考になったと回答 

イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 ケロイドや肥厚性瘢痕(以下、過剰瘢痕)のある人で発症リスクが高い疾患はあるのか―。この疑問に関する大規模研究はほとんど見られない。英・King's College LondonのChuin Y. Ung氏らは、UK Biobank(UKB)に登録された23万例超のデータを用いて過剰瘢痕に関連する疾患を包括的に検討。結果をJAMA Dermatol2023年1月4日オンライン版)に報告した。

アトピー性皮膚炎、高血圧症と関連

 過剰瘢痕は治療抵抗性が高く、見た目を損なう慢性皮膚疾患である。これまでの研究から高血圧症や子宮筋腫、ビタミンD欠乏症、アトピー性皮膚炎と関連することが示されているものの、特定の人種/民族を対象としたコホート研究、または症例対照研究が大半であり、多様な人種を包括的に検討した研究は見当たらない。

 そこでUng氏らは、さまざまな人種が参加するUKBのデータを用いた横断研究を実施。多変量ロジスティック回帰分析で過剰瘢痕に関連する疾患を調べるとともに、人種によって関連性に違いがあるかを検討した。また、前述の4疾患以外で過剰瘢痕と関連するものをフェノタイプワイド関連解析で探索した。

 解析対象は、UKB登録者のうちプライマリ・ケアデータの利用が可能だった23万78例(平均年齢64歳、女性55%)。このうち972例に過剰瘢痕の診断記録があった。過剰瘢痕の記録がない22万9,106例と比較したところ、過剰瘢痕群で女性の割合が多く(55% vs. 65%)、白人の割合が少なかった(95% vs. 85%)。

 既に過剰瘢痕との関連が示されている高血圧症、子宮筋腫、ビタミンD欠乏症、アトピー性皮膚炎について、年齢、性(子宮筋腫を除く)、人種を調整して解析した結果、過剰瘢痕と有意に関連する疾患として高血圧症とアトピー性皮膚炎が見いだされた。ただし、疾患ごとに可能性のある交絡因子を加えて調整した後も有意な関連が維持されたのは、アトピー性皮膚炎のみだった〔オッズ比(OR)1.68、95%CI 1.36〜2.07、P<0.001〕。

関連する疾患は人種によって異なる?

 人種別の解析では、高血圧症は黒人(OR 2.05、95%CI 1.13〜3.72、P=0.02)において過剰瘢痕との関連が見られたものの、アジア人、白人では関連していなかった。一方、ビタミンD欠乏症はアジア人(同2.24、1.26〜3.97、P=0.006)では関連したが、黒人、白人では関連が認められなかった。アトピー性皮膚炎は白人(同1.68、1.34〜2.12、P<0.001)とアジア人(同2.17、1.01〜4.67、P=0.048)で有意な関連が認められ、黒人では有意ではないものの関連する傾向が見られた(同1.89、0.83〜4.28、P=0.13)。

 フェノタイプワイド関連解析の結果、過剰瘢痕は110の疾患と関連することが分かった。幾つかの皮膚科疾患は過剰瘢痕と強く関連しており、顕著なものとして皮脂囊胞(OR 2.56、95%CI 2.17〜3.03、P=9.45×10−30)、非上皮性皮膚がん(同2.89、95%CI 2.36〜3.54、P=2.03×10−25)などが挙げられた。皮膚科疾患以外では関節痛、背部痛といった疼痛関連症状との強い関連が見られた。

 以上から、Ung氏らは「今回の研究で過剰瘢痕とアトピー性皮膚炎、高血圧症が関連することが明らかとなり、既報の知見が裏付けられた。ただしアジア人、黒人、白人の全てにおいて関連が見られたのはアトピー性皮膚炎だけだった」と結論。結果が他の集団にも当てはまるのか、今後検証する必要があるとの見解を示している。

(長谷部弥生)

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