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認知機能障害が高齢AF患者の死亡リスクに

国内NVAF患者3万例対象のコホート研究

2023年02月15日 17:18

395名の医師が参考になったと回答 

 横浜総合病院(横浜市)臨床研究センターセンター長の長田乾氏らは、国内の75歳以上の非弁膜症性心房細動(NVAF)患者3万例超を対象に抗凝固療法の使用実態や臨床転帰について調査したAll Nippon AF In the Elderly(ANAFIE)レジストリのサブコホート研究を実施。認知機能正常例と比べて認知機能障害を有する例は心血管死および全死亡リスクが有意に高く、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)使用例に比べてワルファリン使用例で認知機能低下のリスクが高かったとBMJ Neurol Open2023; 5: e000370)に発表した。

認知機能障害例で心血管死2倍、全死亡3倍

 ANAFIEレジストリは、外来診療可能なNVAF患者3万3,275例を登録した前向きコホート研究。2年間追跡し、リアルワールドでの抗凝固療法の使用状況や臨床転帰について調査した。

 今回の解析対象は、同レジストリ登録時にMini-Mental State Examination(MMSE)により認知機能を評価した2,963例(平均年齢81.4歳、男性55.9%)。MMSEスコアに基づき、認知機能正常群2,377例(80.2%、MMSEスコア24点以上)と認知機能障害群586例(19.8%、同23点以下)に分類した。全体の92%超が抗凝固療法を受けており、DOACは約70%が使用していた。

 Kaplan-Meier解析で各評価項目の2年発生率を算出した結果、認知機能正常群に比べて認知機能障害群では心血管死(1.57% vs. 4.54%)、全死亡(4.73% vs. 17.16%)、脳卒中/全身性塞栓症、大出血、全死亡の複合転帰(7.88% vs. 21.08%)の発生率が有意に高く(全てP<0.001)、脳卒中/全身性塞栓症(3.25% vs. 4.11%)、大出血(1.49% vs. 2.60%)、頭蓋内出血(1.37% vs. 2.12% )の発生率も有意差はないものの高かった。

 多変量解析では、認知機能正常群に対し認知機能障害群では心血管死(ハザード比1.96、95%CI 1.11~3.47、P=0.021)、全死亡(同2.89、2.14~3.90、P<0.001)、複合転帰(同2.28、1.77~2.94、P<0.001)のリスクがいずれも有意に高かった。

認知機能低下の危険因子:低学歴、超高齢者

 登録時に加えて24カ月後のMMSEスコアが得られた1,915例の解析では、642例(33.5%)で認知機能低下が認められた(MMSEスコアのベースラインからの平均変化量-4.9±4.0点)。

 ロジスティック回帰分析の結果として、認知機能低下の有意な危険因子は、9年の義務教育修了未満の低学歴(オッズ比1.42、95%CI 1.12~1.82、P=0.004)、金銭管理ができない(同1.45、1.10~1.90、P=0.008)、85歳以上(同1.44、1.08~1.93、P=0.013)、脳血管障害の併発(同1.41、1.08~1.83、P=0.011)が抽出された。

 ワルファリン使用との比較において、経口抗凝固薬の非使用(オッズ比0.59、95%CI 0.36~0.96、P=0.034)およびDOAC使用(同0.77、0.59~1.01、P=0.057)が認知機能低下の保護因子として抽出された。

 以上の結果から、長田氏らは「認知機能正常例に比べ認知機能障害を有する高齢NVAF患者では、心血管死および全死亡リスクが高かった」と結論。「高齢NVAF患者では、長期転帰不良の危険因子としてベースラインの認知機能も考慮すべきであり、DOAC投与などの質の高い抗凝固療法は脳卒中の予防だけでなく、認知機能低下リスクの低減にも有益な可能性がある」と述べている。

(小沼紀子)

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