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厳密な枕の高さ調整、首の痛みへの影響は?

2023年02月17日 17:31

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 枕の高さを調整することで、睡眠の質や首の痛みなどにどのような影響が及ぶのかー。16号整形外科(相模原市)院長の山田朱織氏らは、同クリニックが開発したSet-up for Spinal Sleep(SSS)法に基づき、個別の枕の高さを厳密に調整し、首の痛みや身体症状の変化を検討、結果をJ Phys Ther Sci2023; 35: 106-113)に報告した。

肩凝り・頸部痛患者84例で検討

 頸部痛は身体および精神に悪影響を及ぼすが、その背景要因として睡眠時に枕による首や肩の支えが不十分である可能性が指摘されている。16号整形外科では、患者の体格を測定して枕の高さを厳密に調整することで頸部痛が改善されると考えSSS法を開発。410例を対象に後ろ向きに検討したところ、頸部痛などの自覚症状が有意に改善することを報告している(MB Orthpaedics 2016; 29: 29-44)。

 同氏らは今回、SSS法による厳密な枕の高さ調整が、自己記入式の身体症状評価尺度-8(SSS-8)スコアに基づく頸部痛および身体症状などを改善するかを検討した。なお、SSS-8は①胃腸の不調、②背中や腰の痛み、③腕、足、関節の痛み、④頭痛、⑤胸の痛み、息切れ、⑥めまい、⑦疲れ、元気のなさ、⑧睡眠の支障ー8項目に対し、過去1週間において「0点(全く悩まされていない)」〜「4点(とても悩まされている)」の5段階(計32点)で評価するもの。

 対象は、2016年4月1日〜7月31日に肩凝りおよび頸部痛で同クリニックを受診した患者84例。主な背景は、平均年齢50.1歳、女性60例(71.4%)、平均BMI 21.7、11段階(「0(無痛)」〜「10(想像できる最大の痛み)」)の疼痛評価スケール(Numerical Rating Scale;NRS)による頸部痛の平均スコア6.8点、SSS-8の平均スコア13.2点、平均罹病期間103.8カ月。

頸部痛が有意に改善

 SSS法に基づき厳密に調整した枕を処方し、枕使用2週間後および3カ月後に頸部痛のNRSスコアとSSS-8スコアなどを評価した。その結果、平均NRSスコアは6.8点から2週間後が5.1点、3カ月後が4.1点で、平均SSS-8スコアは13.2点からそれぞれ9.9点、8.2点といずれも有意な減少(改善)が示された(Jonckheere-Terpstra検定、全てP<0.001)。

 次に、頸部痛のNRSスコア3点以上を臨床的に重要な変化の最小値(MCID)と定義し、MCID非達成群42例と達成群42例に分け、年齢と性を調整したロジスティック回帰分析によりMCID達成の関連因子を検討した。その結果、MCID達成とベースラインの頸部痛のNRSスコアとの間に正の相関が認められた(オッズ比2.02、95%CI 1.42〜2.88)。

 4段階〔「1(満足)」〜「4(不満)」〕の治療満足度を従属変数とし、年齢と性を調整した多変量解析では、3カ月後の頸部痛のNRSスコアの改善とSSS-8スコアの改善との間に有意な正の相関が示された(順にOR 1.36、95%CI 1.09〜1.73、同1.25、1.08〜1.48)。

 以上から、山田氏らは「SSS法を用いて枕の高さを個別に厳密に調整することで、身体的な頸部痛や、心理的・社会的問題に関連する身体症状の両方が改善することが示唆された」と結論。「シンプルかつ非侵襲的な上、永続的で低コストのSSS法が、頸椎症状の治療に有用であることを証明するため、より強固なデザインによる研究が必要」と付言している。

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