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抗糖尿病食で乳がん患者の全死亡リスク低下

EPIC試験データの解析結果

2023年02月21日 16:28

372名の医師が参考になったと回答 

イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 スペイン・Catalan Institute of OncologyのCarlota Castro-Espin氏らは、欧州の大規模コホート研究European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(EPIC)に参加した乳がんサバイバーのデータを用い、乳がん診断前の食事パターンと診断後の死亡リスクとの関連を検討。その結果、2型糖尿病の発症リスクが低い食品(穀物、コーヒー、ナッツ、果物など)が多く、リスクが高い食品(トランス脂肪酸、加糖飲料、赤身肉・加工肉など)が少ない抗糖尿病食の遵守率が高い者ほど全死亡リスクが低かったとBr J Cancer2023年2月3日オンライン版)に発表した。

インスリン、炎症、エストロゲン関連食で検討

 解析対象は、EPIC試験に登録された乳がんサバイバー1万3,270例。追跡期間中(診断後平均8.6年)の全死亡は2,340例で、うち乳がんによる死亡は1,475例だった。

 食事パターンは、乳がんの発症リスクや予後に関連することが示されているインスリン経路、炎症経路、エストロゲン経路に影響すると考えられている3種類を選出し、遵守率スコアを算出した〔①抗糖尿病食(diabetes risk reduction diet;DRRD)スコア(9食品を採点、高スコアほど2型糖尿病のリスクが低い)、②食事の炎症性(inflammatory score of diet;ISD)スコア(27食品を採点、高スコアほど炎症誘発性が高い)、③エストロゲン関連食事パターン(estrogen-related dietary pattern;ERDP)スコア(11食品を採点、高スコアほどエストロゲン代謝に強く影響)〕。

抗糖尿病食で全死亡リスク20%低下、抗炎症食も関連

 多変量Cox比例ハザードモデルによる解析の結果、DRRDスコアの最低四分位群と比べて最高四分位群は全死亡リスクが20%低く〔ハザード比(HR)0.80、95%CI 0.70~0.91、傾向のP<0.001〕、DRRDスコアが1SD上昇するごとにリスクが7%低下した(1SD上昇当たりのHR 0.93、95%CI 0.89~0.97)。食事パターンを相互調整したモデルでは、この関連が強まった(最低四分位群に対する最高四分位群のHR 0.78、95%CI 0.68~0.90、傾向のP<0.001、1SD上昇当たりのHR 0.92、95%CI 0.87~0.96)。

 ISDスコアの最高四分位群では最低四分位群と比べて全死亡リスクが高く有意傾向が認められた(HR 1.12、95%CI 0.96~1.30、傾向のP=0.079)。ISDスコアが1SD上昇するごとにリスクが6%上昇し(1SD上昇当たりのHR 1.06、95%CI 1.00~1.12)、食事パターンを相互調整したモデルでも結果は同様だった。

 一方、ERDPスコアと全死亡リスクとの有意な関連は認められなかった(最低四分位群に対する最高四分位群のHR 0.99、95%CI 0.86~1.15、傾向のP=0.609)。また、いずれの食事パターンでも、乳がん特異的死亡との有意な関連は認められなかった。

 以上の結果から、Castro-Espin氏らは「抗糖尿病食および抗炎症食を長期にわたり継続することが、乳がんサバイバーの予後を改善する1つの手段となる可能性がある」と結論している。

①抗糖尿病食(DRRD)スコア:糖尿病リスクが低いとされる5食品と高いとされる4食品の計9種の食品の摂取を各1~5点で採点。スコア範囲9~45点、高スコアほど2型糖尿病のリスクが低い

②食事の炎症性(ISD)スコア:食事炎症指数(dietary inflammatory index;DII)の改変版。27種の食品の摂取について、EPIC試験の対象における平均値と標準偏差を用いて標準化し、6種類の炎症マーカー〔インターロイキン(IL)-1b、IL-4、IL-6、IL-10、腫瘍壊死因子(TNF)α、C反応性蛋白(CRP)〕との関連に基づく重み付けを行い採点。スコア範囲-4.7~5.4点、高スコアほど炎症誘発性が高い

③エストロゲン関連食事パターン(ERDP)スコア:11種の食品の摂取について、非抱合型エストラジオール値および2-ヒドロキシエストロゲンと16-ヒドロキシエストロゲンの比率との関連に基づく重み付けを行い採点。スコア範囲-1.8~1.2点、高スコアほどエストロゲン代謝に強く影響

(太田敦子)

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