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直接作用型C型肝炎薬、小児にも有効

2023年02月24日 05:00

310名の医師が参考になったと回答 

イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 C型肝炎は、直接作用型抗ウイルス薬(Direct Acting Antivirals;DAA)の登場により、成人患者の95%以上が完治する時代になった。久留米大学小児科学講座准教授の水落建輝氏らは、日本人C型肝炎児を対象に、実臨床でDAAグレカプレビル(GLE)/ピブレンタスビル(PIB)配合剤の有効性と安全性を検討する前向き全国多施設共同研究を実施。同薬8~12週間投与の高い有効性および安全性が示されたと、J Gastroenterol2023年2月15日オンライン版)に発表した。

SVR12達成率を検討

 2019年に、日本人を含む12~17歳のC型肝炎患児47例を対象とした国際共同ランダム化比較試験DORA-1で、GLE/PIBの有効性および安全性が示された。この結果を踏まえ、日本では12歳以上の小児に対して同薬が保険適用となった。しかし、DORA-1での日本人の割合は8.5%と少なく、実臨床における日本人小児に対する有効性および安全性のエビデンスは乏しかった。

 そこで水落氏らは、12~17歳の日本人C型肝炎患児25例〔男児10例、女児15例、年齢中央値13歳(範囲12~17歳)〕を対象に、GLE/PIBの実臨床での有効性および安全性を検討する前向き全国多施設共同試験を実施した。22例は無治療、3例はインターフェロン治療を受けていた。

 主要評価項目は、治療完了から12週後のウイルス学的著効(Sustained Virological Response; SVR)12達成。GLE(300mg)/PIB(120mg)1日1回投与を8週間継続し、SVR12未達成の場合はさらに4週間(計12週間)継続した。

 安全性として有害事象、血液検査に基づく治療前と治療12週後の肝機能を評価。また、小児ではインターフェロン治療による成長抑制が報告されているため、治療前後の身長および体重の変化も検討した。

全例でウイルス排除、肝機能が改善

 全25例が試験を完遂した。8週間の治療で24例(96%)がSVR12を達成し、残る1例も12週間の治療でSVR12を達成。最終的に全例でウイルスが排除された。

 治療前後の肝機能を比較したところ、ALTの中央値は治療前の22U/L(範囲9~81U/L)から治療12週後には12U/L(同6~19U/L)へと有意に低下した(P<0.0001)。同様に、γ-GTPは14U/L(範囲7~45 U/L)から12U/L(同7~27U/L)へ、Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体(M2BPGi)は0.66COI(同0.28~1.45COI)から0.53COI(同0.26~1.2COI)へといずれも有意に低下(順にP=0.0119、P=0.021)。GLE/PIB投与による肝臓の炎症および線維化の改善が示唆された。

 身長の中央値は、治療前が158.5cm(範囲135.6~168.9cm)、治療12週後が159.3cm(同136.6~171.5cm)、体重の中央値はそれぞれ50.1kg(範囲30.4~66.0kg)、52.0(同31.1~69.8kg)、BMIの中央値は19.6(範囲15.3~26.0)、20.1(同15.5~27.0)だった(順にP=0.0001、P<0.0001、P=0.002)。身長や体重の伸び、BMIの低下は見られず、GLE/PIBが小児の成長に悪影響を及ぼすことはなかった。

 有害事象はほとんどが軽度で、治療中止に至る副作用は認められなかった。

 以上から、水落氏は「12~17歳の日本人C型肝炎患児に対するGLE/PIB治療は、実臨床においても有効性と安全性が高い」と結論。その上で、「GLE/PIBは、3~11歳のC型肝炎患児を対象とした国際共同試験DORA-2の結果を踏まえ、2022年に保険適用が3~11歳にも拡大した。現在、今回の研究と同様の手法で、3~11歳の患児に対する同薬の有効性と安全性を検討する研究が実施されている。われわれはこれまでに、C型肝炎患児では小児期に肝硬変や肝がんに進展しないことを報告している(J Gastroenterol 2018; 53: 419-426)。したがって、小児期のGLE/PIB投与によりSVRを達成できれば、C型肝炎ウイルスが原因の肝硬変や肝がんを近い将来撲滅できる可能性がある」と付言している。

(比企野綾子)

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