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重篤な薬疹呈する2疾患の3割に抗菌薬が関連

Stevens-Johnson症候群と中毒性表皮壊死融解症

2023年03月03日 17:26

414名の医師が参考になったと回答 

イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 カナダ・University of TorontoのErika Y. Lee氏らは、重症薬疹であるStevens-Johnson症候群(SJS)と中毒性表皮壊死融解症(TEN)のうち、抗菌薬に関連する割合を調べるため、システマチックレビューとメタ解析を実施。その結果、世界で報告されているSJS/TEN症例の約3割に抗菌薬が関連しており、特にスルホンアミド系が最も強く関連していたとJAMA Dermatol(2023年2月15日オンライン版)に報告した。

1946年〜2022年の38研究をメタ解析

 SJS/TENは、粘膜侵食、表皮剝離、壊死を伴う重症薬疹で、死亡率は50%に達するとの報告もある。皮膚の剝離面積が10%以下のものがSJS、30%以上がTEN、中間の10~30%のものがSJS/TENのオーバーラップと定義される。

 Lee氏らは今回、原因薬剤の1つである抗菌薬に起因する、SJS/TENの有病率を調べることを目的に、EMBASEとMEDLINEの開始(それぞれ1946年、1964年)から2022年2月22日までに登録された、SJS/TENに関するランダム化比較試験および観察研究を検索した。

 研究の適格基準は①研究設定が明記されている、②SJS/TENが臨床基準および/または病理学的基準に基づき明確に診断されている、③SJS/TENと関連する原因薬剤が十分に記述されている、④原因薬剤の具体的な情報が示されている、⑤少なくとも1年継続して募集したSJS/TEN患者が30例以上である−とした。

 システマチックレビューの対象とした64研究のうち、SJS/TENの原因を患者レベルでカウントしている38研究2,917例をメタ解析に組み入れた。原因の数と患者の数を一致させるため、複数の原因を個別にカウントしている研究は除外した。さらに、患者が重複している場合は、最も包括的な情報が記述されている研究を対象とした。

 レビュアー2人が個別に研究選択、データ抽出、バイアスリスク評価を実施。メタ解析にはランダム効果モデルを用い、異質性を検討するためサブグループ解析を行った。バイアスリスクはオーストラリア・Joanna Briggs Instituteのチェックリストを用いて評価し、エビデンスの確実性はGRADEアプローチで評価した。

 主要評価項目は、抗菌薬関連SJS/TENの割合、抗菌薬関連SJS/TENを引き起こす各抗菌薬の相対的割合とした。

最高はオーストラリアの43%、最低は東南アジアの16%

 メタ解析の結果、プールした抗菌薬関連SJS/TENの割合は28%(95%CI 24〜33%)で、エビデンスの確実性は中程度であった。

 原因薬剤で最も多かったのはスルホンアミド系で32%(95%CI 22〜44%)、次いでペニシリン系22%(同17〜28%)、セファロスポリン11%(同6〜17%)、フルオロキノロン系4%(同1〜7%)、マクロライド系2%(同1〜5%)の順だった。

 サブグループ解析の結果、成人と小児で抗菌薬関連SJS/TENの割合に差はなかった。一方、大陸間では有意差が見られ、オーストラリアが最も高く43%、東南アジアが最も低く16%だった。

 メタ解析では有意な異質性が認められたが、これは大陸別のサブグループ解析で部分的に説明できるとし、Lee氏らは「大陸間で抗菌薬関連SJS/TENの割合に有意差が見られたのは、医師、病院、地域レベルでの抗菌薬使用のばらつき、HIVなどの併存疾患の違いに起因している可能性がある」と考察している。

 研究の限界として、全文レビューの段階で研究の4分の3以上を除外し、メタ解析時にさらに40%以上の研究を除外したことを指摘。また、ほとんどの研究はSJS/TENに関連する患者と臨床的特徴の集計データを示していたため、主要評価項目においてさらなる異質性調整目的でメタ回帰分析は行わなかったことなどを挙げた。

 以上を踏まえ、同氏らは「抗菌薬関連SJS/TENの罹患率および死亡率を低減するには、スルホンアミド系抗菌薬を特定の適応症および期間に限定して慎重に使用することや、原因薬剤の早期発見と迅速な中止が重要である」と結んでいる。

(今手麻衣)

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