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ベラパミルで糖尿病児の膵β細胞機能が維持

2023年03月07日 11:10

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イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 米・University of ColoradoのGregory P. Forlenza氏らは、新規1型糖尿病患児を対象に、Ca拮抗薬のベラパミル投与が膵β細胞機能維持に有用か否かを検討するプラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)CLVerを実施。ベラパミルは重篤な有害事象を引き起こさずに、膵β細胞機能を維持する可能性があることをJAMA2023年2月24日オンライン版)に報告した。

7~17歳の88例を52週追跡

 前臨床研究においてチオレドキシン相互作用蛋白質の過剰発現が膵β細胞アポトーシスに関与していることが示されており、その発現を抑制するCa拮抗薬は、1型糖尿病におけるβ細胞機能維持に有益と考えられている。成人患者を対象とした2018年のRCTでは、12カ月後においてプラセボ群と比べてベラパミル群でインスリン分泌の指標であるCペプチド値が35%高かった。

 Forlenza氏らは、2020年7月20日~21年10月13日に米国の6施設で登録した7~17歳の新規1型糖尿病患児88例をベラパミル群(1日1回投与、47例)とプラセボ群(41例)に二重盲検下でランダムに割り付け、診断から52週間追跡した。主な組み入れ基準は、診断から31日以内、1種以上の膵島関連自己抗体保有、体重30kg以上、試験薬が禁忌でないこと。

 ベラパミルは体重に応じた開始用量60mg/日または120mg/日から漸増し、有害事象発現時は同量維持、減量、中断のいずれかで対応した。なお、CLVer試験は糖尿病の強化療法と標準療法を比較する要因試験の一環として行われた。

 主要評価項目は、1型糖尿病診断から52週後の混合食負荷後Cペプチド分泌の曲線下面積(AUC)、副次評価項目は、52週間の最大Cペプチド値、HbA1c、血糖値評価などとした。

ベラパミル群でCペプチド値が30%高い

 対象の平均年齢±標準偏差(SD)は12.7±2.4歳、女児が41%、診断からランダム化割り付けまでの平均期間±SDは24±4日。83例(94%)が試験を完遂した。

 平均CペプチドAUCは、プラセボ群の試験開始時0.60pmol/mL(1.81ng/mL)、52週後0.44pmol/mL(1.33ng/mL)に対し、ベラパミル群ではそれぞれ0.66pmol/mL(1.99ng/mL)、0.65pmol/mL(1.96ng/mL)と有意に高値だった〔調整後の群間差0.14pmol/mL(0.42ng/mL)、95%CI 0.01~0.27pmol/mL(0.03~0.82ng/mL)、P=0.04〕。これは、52週間の治療によりプラセボ群に対しベラパミル群でCペプチド値が30%高いことに相当する。

 52週間のCペプチド最大値が0.2pmol/mL(0.6ng/mL)以上であった患者の割合は、ベラパミル群が95%(43例中41例)、プラセボ群が71%(38例中27例)だった。

 52週時のHbA1c値(ベラパミル群6.6%、プラセボ群6.9%、平均群間差-0.3%、95%CI -1.0~0.4%)、持続血糖測定値が70~180mg/dLの範囲にある時間の割合(同74%、70%、2%、-9~13%)、インスリン量(同0.65単位/kg/日、0.74単位/kg/日、-0.12単位/kg/日、-0.30~0.05単位/kg/日)に有意義な差は認められなかった。

頭痛、便秘、肝酵素上昇はいずれも軽度

 治療関連と考えられる有害事象の発現率は、ベラパミル群17%(8例)、プラセボ群20%(8例)で、いずれも重度ではなかった。両群で頭痛、便秘、肝酵素値上昇が、ベラパミル群のみ心電図異常と低血圧、プラセボ群のみ徐脈が見られた。

 Forlenza氏らは「新規1型糖尿病の小児に対する52週間のベラパミル投与は、プラセボと比べCペプチド分泌能の低下を抑制した」と結論。「Cペプチド改善の長期的な持続性と至適治療期間を決定するには、さらなる研究が必要」と付言している。

(小路浩史)

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