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超高齢の心不全患者にも早期から心リハを

2023年03月09日 13:45

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イメージ画像 © Adobe Stock ※画像はイメージです

 超高齢の心不全患者への早期心臓リハビリテーション(以下、心リハ)は有用か。東京大学大学院循環器内科学教授の小室一成氏らは、4万例超の大規模データベースを用いて、90歳以上の超高齢心不全患者に対する早期心リハの有用性を検討。解析の結果、早期心リハは院内死亡率および再入院率の低下、日常生活動作(ADL)の改善、入院日数の短縮と有意に関連することが示されたと、J Am Geriatr Soc2023年3月1日オンライン版)に発表した。

入院後2日以内の心リハ開始での有用性を検討

 日本における全心不全患者に占める90歳以上の割合は、2018年時点で16.9%に上る。そのため、日常臨床において90歳以上の超高齢心不全患者に遭遇することはまれではなく、今後ますます増えると予想される。

 心リハは慢性心不全の予後改善に有用だが、近年では早期介入による予後改善効果が報告されている。しかし、それらの報告は比較的若い高齢者集団を対象としており、超高齢急性心不全患者に対する早期心リハの有用性は明らかでない。

 そこで小室氏らは、厚生労働科学研究DPCデータ調査研究班のデータベースを用いて90歳以上の超高齢心不全患者に対する早期心リハの有用性を検証した。

 解析対象は、2010年1月~18年3月に同データベースに登録された90歳以上の急性心不全患者4万1,896例。早期心リハは、入院後2日以内のリハビリ開始と定義。傾向スコアマッチング法を用いて、早期心リハ群と年齢、性、BMI、併存疾患、ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類、Barthel Indexなどをマッチングした非早期心リハ群各8,587例を選出し、心リハの効果を比較した。また、性や入院時の心不全の重症度などで層別化した解析を実施。さらに、結果の堅牢性を確認するため、早期心リハの定義を入院後3日以内の開始とした場合についても同様に解析した。

入院後3日以内の開始でも予後改善

 解析の結果、非早期心リハ群に比べ早期心リハ群では、院内死亡率(11.2% vs. 9.0%、P<0.001)、全再入院率(11.2% vs. 10.2%、P=0.036)、心不全による再入院率(6.4% vs. 5.5%、P=0.011)がいずれも有意に低かった。また、ADLの改善率は有意に高く(46.9% vs. 49.7%、P<0.001)、入院日数の有意な短縮も認められた(中央値18日、四分位範囲11~30日 vs. 同17日、11~27日、P<0.001)。

 早期心リハと院内死亡率との有意な関連は、性や入院時の心不全の重症度などで層別化した解析でも男性以外の集団では維持された()。さらに、早期心リハの定義を入院後3日以内の開始とした解析でも、早期心リハと院内死亡率低下に有意な関連が示された(オッズ比0.726、95%CI 0.665~0.792、P<0.001)。

図.傾向スコアマッチング後の早期心リハと院内死亡率との関連性の検討

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(東京大学プレスリリースより)

 以上から、小室氏は「今回の研究は後ろ向き観察研究であり、早期心リハと予後の因果関係を証明するものではない」とした上で、「入院早期からの心リハが、超高齢心不全患者の良好な短期予後と関連していた。近年、数多く報告されている心不全患者に対する心リハの有用性が、超高齢患者においても示された」と結論。「今後は、超高齢急性心不全患者に対する安全かつ有効な心リハ介入について、具体的な方法を確立することが求められる」と付言している。

(比企野綾子)

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