円形脱毛症にMTX＋低用量ステロイドが有効

2023年03月16日 05:00

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　円形脱毛症（AA）の中で、脱毛巣が全頭に拡大する全頭型AAと全身に及ぶ汎発型AAは最も重症度が高く、治療転帰は不良である。フランス・国立衛生医学研究所（INSERM）U1234のPascal Joly氏らは、これらのAA患者においてメトトレキサート（MTX）単独とプラセボの比較、さらにMTX＋低用量prednisoneとMTX単独の比較を行う2段階の二重盲検試験を実施。併用治療においてのみ20～31％で完全またはほぼ完全な再発毛が得られたと報告した。詳細はJAMA Dermatol（2023年3月8日オンライン版）に掲載されている。

6カ月のMTXとプラセボの比較後、prednisone併用を検討

　Joly氏らは、2014年3月～16年12月にフランスの8大学病院の皮膚科において、全頭型および汎発型AAで、局所および全身治療にもかかわらず6カ月超にわたり症状進行を認める成人患者89例（女性50例、男性39例、平均年齢±標準偏差38.6±14.3歳）を、MTX単独群（体重により20mgまたは25mg/週、45例）とプラセボ群（44例）にランダムに割り付け6カ月間治療。6カ月時点で再発毛25％超を達成した患者はさらに6カ月間治療を継続し、25％未満の患者をMTX＋低用量prednisone（前半3カ月は20mg/日、後半は15mg/日）併用群、MTX＋プラセボ群にランダムに割り付けて6カ月間治療した。

　主要評価項目は、MTX単独治療の開始から12カ月時点の完全またはほぼ完全な再発毛の達成とし、脱毛症重症度評価ツール（SALTスコア）10点未満（頭皮の90％以上での終毛発現）と定義。評価は4人の専門家が写真により行った。低用量prednisone併用で効果が発現した場合は、主要評価項目達成とは見なさないこととした。主要副次評価項目はDermatology Life Quality Index（DLQI）、Skindex、Scalpdexで評価したQOL、治療忍容性などとした。

MTX単独での完全奏効は1例のみ

　AAの病型は全頭型が1例、汎発型が88例だった。12カ月間のMTX単独治療で完全またはほぼ完全な再発毛を達成したのは1例のみ、プラセボ群では皆無だった。

　第1段階でMTX群の45例中10例が脱落した。再発毛25％以上の奏効が得られた3例がMTX単独を継続し、残り32例が再ランダム化された。一方、プラセボ群では44例中6例が脱落し、さらに2例が試験継続を拒否。残り36例のうち25％以上の奏効が得られた1例はプラセボを継続、35例が再ランダム化された。第2段階に進んだのは70例で、35例ずつ2群に割り付けた。

再発毛が得られた例でQOLが有意に改善

　MTX＋低用量prednisone併用群の35例中7例（20.0%、95%CI 8.4～37.0%）で完全またはほぼ完全な再発毛が認められた。MTXを12カ月間継続し、prednisoneを6カ月間併用した16例に限ると、完全またはほぼ完全な再発毛が得られたのは5例（31.2%、95%CI 11.0～58.7%）だった。

　完全またはほぼ完全な再発毛が得られた症例では、無反応例と比べQOLに関する各スコアの有意な改善が認められた（DLQI：P＝0.05、Skindex：P＝0.03、Scalpdex：P＝0.03）。有害事象は感染症がMTX単独群の23.5％、prednisone併用群の24.2％に見られたが、全て軽症だった。重度の治療関連有害事象は認められなかった。

　Joly氏らは「MTXと低用量prednisoneの併用により、前治療に失敗した全頭型または汎発型AA患者においても、20～31％で完全な再発毛を見込むことができる」と結論。「今回の結果は、JAK阻害薬に比べてはるかに安価なMTXとprednisoneで同程度の発毛効果が得られる可能性を示唆している」と付言している。

（小路浩史）

変更履歴（2023年3月16日）：日本未承認薬につきプレドニゾンを欧文表記に変更しました